最強魔法師!?

□episode,2
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さてさて,このだたっぴろくてとても兄妹ふたりで住んでいるとは思えない広さの司波家についた訳なんだが・・・・・

「お部屋はどうするの?」

「何か飲みます?」

「何か嫌いな食べ物はありますか?」


まぢか。これは・・・・・家政婦の世界か!?
妹が一から十まで家事を行う。
兄は,スクリーン型と仮想型のディスプレイを使ってなにやら仕事(?)をしている。

深雪の入れたコーヒーを飲んでいたら,突然達也が口を開いた。

「何故家がない?」

深雪も身を乗り出してきた。
どうしても聞きたいらしい。

「いやー,な。ま,いろいろと・・・・」

言葉を濁すと,達也と深雪に少し警戒の色が浮かんだ。

「親がさ,殺されたんだ。」

この一言は,司波家のこの広いリビングに異常に響いた。
できるだけあっさりと言いたかったがどうしてもあのときの残酷さを思い出してしまう。





雨が降っていた。大雨だった。
魔耶は,家の中で魔法の歴史書とノートをひろげながら,着々と魔法について学んでいた。

月野家の後継者となるために。

百華家の令嬢として,恥じないように。

親たちは,理化学研究所という名の魔法科研究開発所に務めている。
父,月野 最貴(サイキ)はその所長。
母,百華 魔菜(マナ)はその幹部。

決して,秘密結社というわけではなかった。
むしろこの魔法界にとっては欠かせなくなっていた魔法界のトップ研究所だったのだ。
今でもそれは変わらない。

父と母が死んだことはのぞいて。


父と母は汚名を着せられ,魔法を奪われ,敵に売られ,八つ裂きにされた。


全てを。



父も。



母も。



思い出も。



そして,魔耶も。





皆,帰っては来ない。
家は焼かれた。敵の手によって。


その敵というのは,全世界魔法反逆協会に所属する会長,早乙女 椰乃(サオトメナギノ)を筆頭にその幹部達全員だ。





「許せないんだよ。」

最後の言葉には,怒りと悲しみが混在していて自分でもどうしていいか分からない。

達也は最初より神妙な顔をしているし,深雪はもう泣いている。

「しかし,全世界魔法反逆協会とは・・・・」

達也が呟く。

「辛かったのね魔耶・・・。」






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