暗闇の中の眩き光

□窮奇編1
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昌浩は跳ね起きた。
背中を嫌な汗を伝う。何故か・・・


夢見が悪かった・・・・訳ではない。
問題は,日の高さにある。

立派な安倍邸の真上で煌々と・・・・



      真上っ!?


「やっばい〜!」

雄叫び(?)をあげて,昌浩は茵から飛び出すと居間へと走った。


        ガラッ!


妻戸を開ける。

目の前に転がっているのは探していた物の怪。
名はもっくん。

居間で大口開けて寝ている。
そいつを引っ掴み,庭へと投げて・・・・否,叩き付けた。



「ふぎゃっっ!?」



不幸にも昌浩の怒りの対象となってしまったもっくんは哀れにも死亡・・・とまでは行かないが目を回し,泡を吹いている。



「何故だもっくん!何故俺を起こさなかったんだ!!」

昌浩は怒り心頭である。


「いや・・・いやな,お前がそれはそれは気持ちよさそーに寝ていたからな。もう少しは寝かせてやろーという俺からのささやかな「関係ないっ!」・・・」


物の怪の論を気合いで吹き飛ばす。


沈黙が降りた。


と,突然居間に現れたのは,昌浩の母露樹。

「まぁ昌浩,寝間着であなたは何をしているのです。」

そりゃあそうだろう。露樹には物の怪が見えない。
寝間着姿の昌浩が,畳に向かって吠え立てているようにしか見えないのだ。
だから,声には呆れが見え見えだ。

自分の母の言葉で初めて自分の今の姿を認識した昌浩はまたも雄叫びを上げ,自室へと引っ込んだ。






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