short story
□ユス‐たったひとつの願いが叶うなら。‐
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……あの日。
突然、恋人のジュンスが、
“今日はユチョンと出逢えた日だ!”
そう言った。
“僕、こんなに幸せでいいのかな?”
俺が好きな笑顔で、
俺が好きな優しい声で、そう言ったよね。
“ねえ!”
“ん、なに?”
“ユチョン!買い物しに行こうよ♪”
そう言うから、理由を聞くと、
“出逢えた記念日だから何か欲しいんだ”
そう言った、微笑む君に何が欲しいのかを聞いた。
そしたら、ジュンスは
“ずっとずっと、形に残る物が欲しい。”
どこか悲しい笑顔で、そう言ったよね。
今なら、その意味がはっきりわかるんだ。
買い物を終えて、駐車場へ行こうと、横断歩道でジュンスと俺は信号待ちをしていた。
そしたらいきなり俺に向かって、走ってきた女がいた。確かその女は同級生でジュンスのことが好きだったはず。
『っ!ユチョン!危ないっ、』
ジュンスがそう言って、俺のことを守るように前に立った。
……その瞬間だった。
君は、今まで見たことない苦しい表情で、
俺の目の前で倒れた。
俺は、頭が真っ白になった。
大事なジュンスが、
愛してるジュンスが
なんで。
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