眩しい太陽は君のよう。

□Story.4
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三年前────



それは私が小学校五年生の時。
記憶を失う直前の話である。


父は警察官で、ちょうど後輩の結婚式に参列していた。私と、私の母も一緒に行った。

ウェディングドレスを見た私は、とても胸がドキドキした。
いつか自分も着てみたいと思っていた。


しかし、この結婚式にはちょっとしたオマケが付いていた。

新郎新婦宛てに一週間前に脅迫状が届いていたのだ。内容は殺人予告。とんでもないものだった。
そして、この日に殺すと予告をしていたのだ。

父はその事を知った上で、何故家族を連れてきたかというと、私が行きたいと頑張って説得したからだ。


式が始まろうとする中、式場は参列者に扮した警官でいっぱいであった。

「ねぇ、お父さん!花子もウェディングドレス着たい!」

「花子にはまだ早いよ。それよりも前に、相手を見つけないと。」

「パパの意地悪っ!」

私がふてくされると母も私に同情してくれた。

「そうよ。結婚式は出来ないけど、相手はもう居るもの。ね?」

「花子に彼氏だと?!まさか風丸くんのことか?」

「違う違うちがーう!いっくんは彼氏じゃないもん。」


私は急いで否定する。
いっくんとは幼なじみで居たいわけで、決してそのような関係に至ってはならないと…。



でも、言われると、まぁ…悪くはないかな。とも思っちゃう。

いやいや!
いっくんにはもっと可愛い子と居た方がお似合いね。
私なんかと一緒に居ると不釣り合いよね。



「まぁ、風丸くんならしっかりしてるし、他の男の子と一緒になるよりは良いな。」

「あら、やっぱりそうおもう?」

「ママまでー!」

すると、突然花嫁の控え室から叫び声が聞こえる。
父は表情を一転させ、すぐさま走っていった。私も気になったので父の後を追う。母が止めるにも関わらず、そのまま私もついて行き、部屋の中に入ると、花婿が自分の嫁に銃口を向けている。

私は思わず一歩下がってしまった。

「銃を下ろせ!撃つぞ!」

すると、父も銃を構え花婿に射程をあわせる。


私の頭の中は真っ暗だった。

「良いのかなぁ…?子供に当たっちゃっても。」

「花子?!」

私は身動きが取れなくなっていた。
よく分からなかったが、花婿が悪い人というのは分かった。

しかし、ここを血の海にしたくはない。


小学五年生の私の決心が、大きく人生を変えるとも知らずに。
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