野球ファンである私がサッカーファンになった理由

□キックオフ!!
1ページ/1ページ








私がサッカーを好きになったのは、ひょんな事だった。


それまでなんにもなかった平穏な日々。
野球をするオカルト研究部員。
それが、私であった。

野球部に混ぜてもらってマウンドにたつ。


「バッター、山田。」

甲子園で流れるアナウンスの真似事をする私。
バットをもって、お尻を沈め、ピッチャーの球筋を見極めようと集中力を高めているときの事だった。







ボーーーンッッ!!



私の頭に何かが強く当り、そのまま倒れて脳震盪を起こしてしまった。


しばらくして目を開けると、そこに待っていたのは青い空ではなく、むさ苦しい男どもの顔だった。



「キャァァァァァァァァァァアアァァアッ!!」



私は思わず叫んで視界に入った男の頬をビンタする。


「何しようとしてるのよ、バカっ!!」

「すまない、そんなつもりは…」

よく見ると、割りと顔立ちが整っていて、ユニフォームの襟からネックレスがキラッとわずかに輝いているのが見えた。

「…あなた、サッカー部?弱小の。」

「頭にボールを当ててすまない。今後は気を付ける。」

否定も賛成もしないまま、男はサッカーボールを持つとそのまま去った。
よく見ると、背番号は10番だ。


“雷門みたいな弱小サッカー部に、エースストライカーなんていたんだ。”

というのが、このときの正直な心情だった。

このとき、何となくサッカーというスポーツに魅了された。
野球にはない、面白さがそこで待っている。


そんな予感がした。






これが、私がサッカーを好きになるキッカケとなった、出会いのキックオフである。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ