野球ファンである私がサッカーファンになった理由
□キックオフ!!
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私がサッカーを好きになったのは、ひょんな事だった。
それまでなんにもなかった平穏な日々。
野球をするオカルト研究部員。
それが、私であった。
野球部に混ぜてもらってマウンドにたつ。
「バッター、山田。」
甲子園で流れるアナウンスの真似事をする私。
バットをもって、お尻を沈め、ピッチャーの球筋を見極めようと集中力を高めているときの事だった。
ボーーーンッッ!!
私の頭に何かが強く当り、そのまま倒れて脳震盪を起こしてしまった。
しばらくして目を開けると、そこに待っていたのは青い空ではなく、むさ苦しい男どもの顔だった。
「キャァァァァァァァァァァアアァァアッ!!」
私は思わず叫んで視界に入った男の頬をビンタする。
「何しようとしてるのよ、バカっ!!」
「すまない、そんなつもりは…」
よく見ると、割りと顔立ちが整っていて、ユニフォームの襟からネックレスがキラッとわずかに輝いているのが見えた。
「…あなた、サッカー部?弱小の。」
「頭にボールを当ててすまない。今後は気を付ける。」
否定も賛成もしないまま、男はサッカーボールを持つとそのまま去った。
よく見ると、背番号は10番だ。
“雷門みたいな弱小サッカー部に、エースストライカーなんていたんだ。”
というのが、このときの正直な心情だった。
このとき、何となくサッカーというスポーツに魅了された。
野球にはない、面白さがそこで待っている。
そんな予感がした。
これが、私がサッカーを好きになるキッカケとなった、出会いのキックオフである。