FlOWER
□ さよなら、白の世界
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何者かに頭を打たれメリオダスのとなりに倒れたあの日、私は血に濡れたままとある町外れの道端に倒れていたそうだ。
たまたまそこを通りかかった神父様が助けて下さり、身寄りのない私を快く受け入れて下さった。
今は教会でお手伝いしながら神父様のところへ居座らせてもらっている。
──あの日の記憶は、曖昧だ。
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神父様は本当に良き人…。
このような澄んだ心を持つ人々が増えれば、この世界から争いをなくせるのに…。
人間はとても邪悪な心を持つ悪魔だ。
その仮面を取れば何人悪魔がいるか。
争いを好む、邪悪な悪魔たち。
──争いの先に、何が生まれるのか。
……昔、私も人を殺めた。
それは完全なる罪だ。私の罪。やってはいけない、死ぬまで背負うべき罪。
自分は『正義』だと思い人を殺めた。
ただ大切な人を守りたい──その、一心だった。
けれどそれは認められない大罪となって、私を大罪人にした。
…わかっていた。こうなることを。
正義だとしても、罪を犯したことにかわりはないのだから。
教会で祈りを捧げるたびに、人を殺めたときの記憶がよみがえる。
───涙が、頬を伝う。
それを拭ってくれる彼もとなりにはいない。
不安定なときはいつもそばにいてくれて手を握ってくれた。
冷えきった私の手を温かい彼の体温が包む心地よいとき。
彼も大罪人だけれど、でも、優しすぎるのよあの人は。
『…正義だとしても、お前のやったことは大罪なんだ…人を殺めたのなら。オレも一緒だ。だから、一緒に背負おうお前の罪』
大罪人となったあの日彼は私にそう言った。
────いつもとかわらない笑顔で。
時には『正義』も罪となる───
゛よってお主を<七つの大罪>に匹敵する大罪人とする゛
七つの大罪と、同等に扱われる身になったあの日。
゛正義は罪なんだ゛と認識した。
刻まれた獣の刻印は、狼。
──正義の罪、ウルフ・シン──
──ミサ・バレンタイン