シンデレラシンドローム

□一緒にいられて毎日幸せです
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───六本木






「…っ、東京〜〜!ただいまっ!」



───ほんの数分前、学びの為に在住していたアメリカから故郷の東京へ帰国したばかりだった。

橙堂美冴、17歳。誠凛高校の二年生。

「ふぅー…疲れた……久々の飛行機は長かったな…。っでも!明日は待ちに待ったみんなと合流の日だから、士気を高める為に私も気合い入れなくちゃ…よし!」

ほんとは今日みんなと合流したかったんだけど、悪天候のせいで搭乗するはずだった飛行機が欠航になっちゃったから、一つあとの便に乗ってきたんだよね…昼頃には着いてる予定だったのに。東京はもうすっかり夜の闇に包まれている。

「──…涼ちゃん、征ちゃん……」

(あの二人ケンカとかしてないかなあー……まぁまず、征ちゃんがそんなキャラじゃないもんね)




ガラガラ…ガラガラガラ…




ヒール足痛いー。疲れたー。なんて思いながら、重量と大きさ、光沢と艶がある黒いキャリーケースを引いて六本木にある自宅へ向かっている途中。











「──あれ…カゲトラさんと…黒子くん……?」


ある路地を通ろうとしたその時、見慣れない二人組を偶然発見してしまった。ぴたりと足を止めて一時停止をして再度そちらに目を向ける。

長時間、飛行機に乗っていた疲れで幻が見えるのかと思いもう一度見てみると、今度はクリアにはっきりと二人の姿を捕らえた。

(こんな時間にどこ行くんだろう。…え、何あの店……ちょ、キャバクラ!?カゲトラさんはおいといてなんで黒子くんも…!?)

思わずわなわなと肩を震わせてその光景を見ていると、ついには階段を降りて行ってしまい見えなくなってしまった。

(う、うそでしょ…どどど、どうしよう…!?このまま追いかける?いや、でもっ……〜〜ッ、あああああ!!もう行くしかない!!!)

キセキの世代同士の試合を見た後のような心臓の高鳴りがいつにも増してドクドクと鼓動がはやい。

少し躊躇するも、行くしかないと意を決して進行方向を二人の入って行った怪しくネオンが光るキャバクラへと向けた。

地下に誘う階段の前で立ち止まって、肩に掛けたバッグの取っ手をぎゅうと握りしめて一度深呼吸をすると、ぐっと力を込めてキャリーケースを持ち上げ、転ばないように気を付けながらでも自然と足早に階段を降りて行った。

(こんなとこに来るんだから何かワケがあるんだきっと…っでも、黒子くん以外のみんなが見当たらないし、なにか嫌な予感がする…っ!)
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