短編はこちら
□お見舞い
1ページ/1ページ
怖い夢をみたせいで今朝の目覚めは最悪だ。
まだ頭がぼーっとする中スマホに手を伸ばし時間を確認すると7時23分
「....頭....痛い....」
夢のせいだろうか、と思いながら体を起き上がらせキッチンまでフラフラと歩く
冷蔵庫から水を取り出し、乾いた喉を潤した後念の為、と体温を測ってみる
「38.7....」
体温計は思っていたよりも高い数字を示していた
風邪だろうか、この熱では学校には行けそうにない為後で休ませてくださいと連絡しなければいけない。
ただ、母は昨日から泊まりで実家に帰っていて夕方まで帰ってこないと言っていた。
父は早くから仕事に出かけているため家には私1人なのだ
フラフラとまた自分の部屋に戻った私はスマホを手に取り学校に連絡をいれた後、彼氏である荒北靖友に「風邪をひいたから学校休みます」とメールをいれ、また眠ってしまった。
「おはよォ」
目が覚めたときベッドの横には靖友の姿があった
「え!?どうしたの?」
「おめェが風邪ひいたっつーからァ」
お見舞いな、と言いながらコンビニ袋から飲み物を取り出し手渡してくれた
学校はどうしたの?と聞くと靖友はサボったと当たり前のように言ってのけた
私は、サボりは良くないよなんて怒っては見たものの頬が緩みっぱなしだ
「オレがきてそんなに嬉しいわけェ?」
とニヤニヤしながらからかわれても今日は素直に頷ける
毎日部活が忙しい靖友とはデートなんてする暇がなく寂しい思いをしていたから今日くらい甘えていたかった。
「....風邪ひいてよかったよ....」
「ア?なんでだよ」
「だって、こうして靖友を独り占め出来るんだもん....」
「....!こういう時だけ急に素直になるの辞めてほしいんだけどォ........」
心臓持たないから....と言いながら顔を手で隠す靖友を見てなんて恥ずかしいことを言ってしまったのだろうかと気づき布団で顔を隠した。
「....なまえ........」
名前を呼ばれ布団から顔を出すと真剣な顔をした靖友が間近にいて更に顔に熱が集まるのを感じた
靖友の手が私の頬を撫でた
更に顔が近づき靖友は頬にキスを落とす。
「ったく....早く治せよォ.......」
「治ったらちゃんとキス....してね」
「....!恥ずかしいこと言ってんじゃねェ!!」
そういう靖友は耳まで真っ赤になっていた。