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□素直になれない
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「おめさん本当に素直じゃないな」

「ッセ!おめェには関係ねェだろォ新開」

「そんなことしてたらなまえちゃんに別れ切り出されてもおかしくないぞ」

そう言われてしまってな何も言えない荒北は不機嫌そうに顔を歪めながらお昼の学食を口にかきこんでいった

彼女であるみょうじなまえにクリスマスは一緒に過ごせるか?と聞かれたのはつい先ほどのこと
それに対しそんなものに興味ない、プレゼントもいらないと思ってもないことを言って言い合いになってしまった。

「靖友は何もわかってないんだね....もういいよ」

そういわせたのは自分で、酷く後悔している
どうしてこんなにも捻くれた性格なのかと自分に腹が立つ。

「たまには素直になるのも大切だぜ?」

「素直になれたら苦労してねェよ....」



その日は部活にも力が入らず終始イライラしていて福ちゃんや東堂にどうしたのかと聞かれたがなにも言えなかった

部員達が全員帰ったあと、何時ものように一人で自主練をしていたらなまえが部室に入ってきて驚いた

「やっぱり、靖友だった」

「なァんでこんな時間まで居んのォ」

「委員会の仕事長引いちゃって....まだ明かりついてたから靖友が自主練してるのかなぁって思って」

そう言って笑いながら差し入れにベプシを持ってきてくれたこいつは素直でいいやつだと心底思う

「じゃあ私は先に帰るね」

「オレももう帰るつもりなんだケドォ」

「え」

「ダァから....送ってくっていってんだよ!」

そう言うとなまえは振り向いてじゃあ待ってるねと言ってベンチに腰掛けた
オレは急いで帰り支度をしてなまえと一緒に帰路につく

「靖友と一緒に帰るの久しぶりだねー」

「ソウダネ」

「靖友、最近部活忙しいもんね」

少し寂しい顔をしたなまえはそれでも笑っていた
もしかしたら無理をさせてしまっているのだろうか、もうオレとは別れたいのだろうか自分が器用じゃないのは十分に知っているし新開や東堂のほうが悔しいがこいつを幸せに出来るのかもしれない

「なまえ....」

「ん?」

お前は今幸せか、そう聞こうとして口を閉じた。
もし、幸せじゃないなんて言われてみろもう立ち直れないかもしれない

「なんでもねェ」

「....?へんなの」

その後の世間話はほとんど聞かずに家の前についてしまった

「送ってくれてありがう、おやすみなさい」

「アァ....」

どんどん小さくなるなまえの後ろ姿に無意識に手を伸ばしていて気づいたら腕を掴んでいた
自分でも何をしているのか分からずに困惑しているとどうしたの?と聞かれた

「あ、あのサァ........オレは....ちゃんとなまえの彼氏........に........なれてるゥ?」

少し驚いた様子でこっちを見上げる目は全てを見透かしたようににっこりと笑った

「当たり前でしょ」

「オレ....素直じゃねェし、いっつも怒らせてばっかでおめェを幸せに出来てるか分かんねェケド....愛してっカラネ」

「なんか、プロポーズみたいだよ?」

「バッ....チゲぇよ!!バカチャンがァ!」

「じょ、冗談だよ!アハハ」

なんてからかうように笑うなまえは真っ赤顔で俯いていた


「....なまえ....こっち向けヨ」

「ごめん、今は....無理、かも」

未だにうつむくなまえの顎に手を伸ばし無理矢理上を向かせると潤んだ瞳と目が合い鼓動が一気に早くなるのを感じた

あぁ好きだなんて思った時には唇と唇が触れていた

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