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□叶わない恋だけど。君が好き。
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それが例え叶わない恋だとしても、オレは幸せだったよ。





「おはよう、新開くん!」

朝、教室でオレを出迎えてくれたのは片思い中のみょうじさん

「おはよう、みょうじさん」

みょうじさんとは一年の頃から仲が良く、いつも笑顔で元気な娘だ。
ただ、オレがどれだけ想っていてもこの想いは彼女には伝わらない。

それは、彼女が━....

「みょうじチャンおはヨ」

「お、おはよ!!荒北くん!!」

靖友の事を好いているからだ。
それだけならまだしも靖友もみょうじ さんの事が好きなのだからオレの気持ちは複雑だ。

出来ることなら早くくっ付いてほしい。
そしたら、諦めもつくかもしれないと応援してみたりもしている。


靖友が照れくさそうに頭を掻きながら言葉を発せばみょうじさんは嬉しそうに、オレといるときにはない顔で微笑むのだ。

そんな顔を見ているとやり場のないイライラやモヤモヤも何処かへ飛んでいってしまう気がするから不思議だ。
やっぱりみょうじさんは本当に天使なのではないかと疑ってしまう。

ただ、一つ特権があるとすれば、靖友について相談をしてくれることだ。
これは、靖友には絶対に出来ないこと。

それだけで靖友にほんの少し優越感を感じる。



「あの、これ、落としましたよ。」

一年の冬。

友人と廊下で話しているときに急に声をかけてきたのが、 みょうじさんだった。
落としたシャーペンを拾い、手渡してくれたのがきっかけでクラスは別々だったがオレとみょうじさんは仲良くなった。

初めはなんとも思っていなかったのにだんだんと華奢な体型や、可愛らしい笑顔に男とは違うんだと実感するのが増える日々に異性として意識し始めた。

自分なりにアピールしてみるも、鈍感なのか全然気づいてくれず想いを伝えられないまま2年にあがり、出会ってから1年が過ぎようとしている時告げられたことはオレの胸に突き刺さった。

「あのね、新開くん....気になる人が居るんだけど....」

「へぇ、それって....好きな人?」

ち、違うよ!そうじゃなくて!なんて顔を真っ赤にして手を振る彼女をみているとあぁ、こんな事なら想いを伝えてればよかった。そしたらオレを想ってこんな顔をしてくれたかもしれないと後悔した。

「その人....荒北靖友くんっていうだけどね、新開くんと同じ部活でしょ?だから、知ってるかなぁと思って聞いてみただけ....」

「そっか、おめさん靖友が好きなんだな」

なんてニヤニヤとからかってみるも心のモヤモヤとイライラは消えなかった。

「オレは友達以上にはなれないんだな」

「え?なんか言った??新開くん」

「いや、ただの独り言だ忘れてくれ」

「そっか」


オレはいつになったらこの想いを断ち切れるのだろうか。
靖友よりオレのほうが、先に出会って好きになっていたはずなのに友達にしかなれなかった。

いや、友達だったから恋人になれなかったのかもしれない。
オレは、ただの男友達だったのだ。



君と出会ってもうすぐ2年が過ぎようとしている━

付き合い始めたという靖友とみょうじさんにおめでとう、と声をかけた後独りで静かに涙を流した。

オレは、ちゃんと笑えていたかな。

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