書物
□鉛空
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今日も何もなく一日が過ぎていく。
何もなく過ぎていく予定だった。
「銀ちゃん、暇アル」
「知るかよ、定春と遊んどけ」
「神楽ちゃん、銀さん、暇なら僕の手伝いしてくださいよ」
新八はいつも通り掃除をしている。
しすぎなくらいにしている。
「毎日してるんだからいいじゃねえか」
「だめです。定春の毛が凄いんですから」
…だそうだ。
別に犬の毛に埋れて暮らしてもいいんじゃねえか?
そんなたわいもない会話をしていたら外階段を走って上がってくる足音が聞こえてきた。
次の瞬間引き戸が思いっきり開いた。