書物
□鉛空
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「十四郎!!」
そう言いながら俺は病室のドアを開けた。
そこには十四郎とは別の…見覚えのある姿があった。
「高杉…お前、十四郎に何をした?」
俺は高杉を睨みつけながら聞いた。
「ククク…そんな怖い顔すんなよ、銀時ぃ…」
高杉は口の端をあげて笑いながら言った。
だけど目はちっとも笑っちゃあいねえ。
「俺の顔はどうでもいいだろう?十四郎に何をしたと聞いているんだ」
「俺の銀時を取った罰を与えただけだ」
高杉は笑っているようで悲しそうな顔をしている。
「十四郎を傷つけるのは許さねえ」
「その目がたまらないねえ。こいつが目覚める前に俺は去るとするか」
そう言った高杉は病室の窓から飛び出した。
急いで窓の外を見てみたがそこにはもう高杉の姿はなかった。