story
□皆には内緒だよ
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『名無しさんちゃんっ』
そう言うと彼は私の肩に顎を乗せてきた。…私の彼は超がつく甘えんぼさん。テレビで見せるクールな顔なんてまったく感じられない。
「ん〜?」
『雑誌ばっかり読んでないで構ってよ』
「ん〜」
そのまま雑誌を読み続ける私。拗ねた彼は一人でゲームをやり始めた。
雑誌を読み終えた私が彼のほうを見ると、怒った表情をしていて、拗ねてるとひと目で分かった。
「かず?」
『ん?』
「ごめん…もう雑誌やめたよ?」
『やめたじゃないでしょ、最後まで読んでたくせに』
ギクッ。その通りだ。
子供みたいにほっぺを膨らませて怒った彼はそのままゲームを続けた。
「ごめんってば」
『名無しさんだって雑誌最後まで読んだでしょ?だから俺もゲームクリアするまでやるから』
おお…。予想以上に怒ってる。
流石に悪いことをしたなと思った。
だから今度は私が彼の肩に顎を乗せて話しかけた。
「かず?怒った?」
『怒ってない』
「怒ってるじゃ〜ん。ごめんね?」
『もう俺の事無視しない?』
『しない!絶対しない!』
「じゃあ……許す」
そのまま彼が腕を伸ばして私の腰あたりにキュッとくっついてきた。か、可愛い…。こういうところが大好きなんだよね。
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