story
□ぽっちゃりが好き…?
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今日いつも通りスタジオに入ると見知らぬ女の子と智くんが仲良く話していた。最初はスタッフの子かと思ったけど、どうやらそんな雰囲気ではない。気になって近くにいた相葉くんに聞いたら、智くんの実家の近所に住んでいる子で幼馴染みみたいなものだそう。
なんでも歳は智くんより随分下で、妹みたいな存在らしく、智くんのことも本当のお兄さんのように慕っているように見えた。
しばらく二人を眺めていたら、俺の存在に気づいた智くんに呼ばれた。
大『あれ?翔ちゃん、来てるなら言ってよ〜』
『あっ…いや、おはよう?』
俺がぎこちなく挨拶をすると、智くんの隣の女の子も軽く会釈してくれた。そのまま智くんのとなりに腰掛けると、智くんがその子を紹介してくれた。
大『こいつ名無しさんってんだ』
「ちょっと…コイツとか言わないでよ…」
こいつと言われて軽く智くんのことを睨んでいたけど、智くんはへらへら笑っていた。
『初めまして、櫻井翔です』
「はい、存じ上げております」
俺もつられて自己紹介をすると、彼女は笑って知ってると言った。それがなんだか少し嬉しかった。
挨拶を交わすと、智くんが怪しい微笑みで近づいてきて俺に耳打ちしてきた。
大『翔くん名無しさんみたいのタイプでしょ?ふふっ』
智くんの発言にびっくりして、思わず変な声を出してしまったら彼女は不思議そうに俺たちを見つめていた。
「ちょっと…な〜に〜?」
大『なんでもない!なんでもない!今日収録押すかもって言っただけ!』
それでも彼女は怪しそうに智くんを見ていたけど、俺は正直それどころではなかった。……智くん分かってるな。
今日このスタジオに入ってきた時、智くんの知り合いにこんな可愛い子がいるなんてびっくりした。背が低くて、コロコロしてて…小動物みたいな子。
大『名無しさん1年間短期留学しててさ、今日一年ぶりに帰国したんだ。久々だから来ちゃいなよって呼んだの』
「すいません…図々しく…」
『え?いやいや全然!!!』
大『本当図々しいよ』
「ちょっと!」
二人のやりとりは本当に仲のいい兄妹みたいで、見てて微笑ましかった。同時に智くんがこんなお兄ちゃんの一面があるのかとびっくりもしたけど(笑)
そのあと智くんは彼女にバレないように怪しい微笑みを浮かべて、どこかへ行ってしまった。きっと俺に気使って二人きりにしたんだと思う。
「生で見る翔くんイケメンだ〜♩おおちゃん居ると恥ずかしいから言えなかったんですけど…へへっ」
『いやいや!そんな…』
嬉しすぎてどうしたらいいのか分からずに彼女の方を少し見ると、彼女も照れくさいのかしたを向いていた。
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