室町時代に王子様!?

□疑いたきゃ疑え
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まだ、完全に朝日が差し込む前の薄暗い時間帯。
いつも賑やかな忍術学園からは夜の独特な静けさが漂う中、一番に活動を開始するのは食堂のおばちゃんだろう。何十人もいる学園の食事を一人で切り盛りしているのだ。


慣れた手つきで朝餉の準備に入るおばちゃんとは別に動き出す人影が一つ。

こちらは少し辛そうに起き上り欠伸を一つするとにやりと笑みを作り速足で食堂に向かうのであった。






―――………・・・


「白石さん!!千歳さん!!」

「…乱太郎君、きり丸君、しんべヱ君。おはよう。」

「「「おはようございます!!」」」

朝になりに術学園の皆が起きだす時間帯に何とか起きた白石と千歳。

昔の人の朝は早い。

そう聞いた通りにここの人たちの起床時間も早かった。起きれるか心配なところもあったが朝練などで早起きをする機会は多く、それほど苦痛に感じたことはない。


今、千歳が背中に負ぶっている金太郎以外は…




「三人共起きっの早かねぇ」

「早起きは三文の徳!!朝方は銭になる物とか落ちてるかもしれませんから!!」

「…きりちゃん。」

二人が振り向いた先にいたのは一年は組仲良し三人組。
すでに寝間着である小袖から水色井行模様の忍装束に着替え、きり丸は眠気など微塵も感じさせない笑顔である。

「金太郎さんは今日も起きれなかったみたいっすね」

「食堂に着くまでに起きてくれればええんやけどな…」

「食堂にいかれるんですね、私たちもご一緒してもいいですか?」

「勿論や。一緒行こか」

此方の世界に来てから金太郎は一度も自分で起きた試がなく千歳が背負って食堂に入るのは見慣れた光景になっていた。

食堂に向かいながらも金太郎を揺さぶっていると、目をこすりながら千歳の背から顔を上げる金太郎。

「金ちゃん起きたばいね。もう食堂に着くたい」

「……何や…もぅ、朝ぁ?」

「朝飯の時間や。ほら金太郎、シャキッとしぃや。」

「「「金太郎さん、おはようございまーす!!」」」

乱太郎、きり丸、しんべヱの元気な挨拶を聞き段々と意識が覚醒していく金太郎。



「んー。よっと!!……おはようさん!!」

ヒョイと千歳の背中から飛び降りて三人と同じように元気に挨拶をした。

寝る時だってトレードマークであるヒョウ柄タンクトップのままの金太郎はつい一瞬まで寝ていたとは思えない程の笑顔だ。

「金太郎さん、寝坊助っすね。」

「いつか朝ごはん食べそびれちゃいますよぉ」

「そ、それは嫌や。よし、わい明日からちゃんと早起きするで!!」

「…金太郎が早起き発言!?」

「今日は嵐たい」

「金太郎さん普段はどれだけだらしないんですか…」

金太郎のまさかの発言に成長したことに対しての感動と驚きの涙を見せる白石。空見上げる千歳。呆れる乱太郎。

三者三様である。


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