!くろけん!

□◇はじめて1
2ページ/4ページ




土曜日の午後だった。
黒尾は部活のあと、研磨の家にいりびたっていた。



「別にいたっていいじゃねぇか。」

「や、いいけど…おれクロのこと、かまってあげられない。」

「は?」

「だって…」



研磨は昨日布団に入りながらしていたらしいゲームソフトを枕の横から取り出した。


「これ、やるから。」


「それは…!!モンスター狩人…!!」

「昨日買った。」



研磨の目が、キラキラとしている。
ベッドに横になると、ピコピコやりはじめた。


「ちっ…ゲーマーめ…」


黒尾は気にせず研磨の部屋にあった雑誌を読む。

しかし……




おれは今日、雑誌を読みに来たんじゃねぇよ……!!!




黒尾は研磨をちらっと見た。


画面を見る冷めたつり目。
キレイな肌。
通った鼻筋。





あーーー……


さわりてええええ……





黒尾の思考は駄々漏れで……



「……なに…クロ……」


研磨が鬱陶しそうに横目でチラリとクロを見た。


「わかんだろ……俺の考えてること……」

「え…わかんない。」


研磨はヤバイと思い、目をそらすように画面に向き直った。




しかし、もう遅かった。



「わかってねぇなら、やってやるよ……」


黒尾がゆっくりと立ち上がった。

画面の中でも現実でも、命の危険を感じた研磨だった。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ