!くろけん!

□◇はじめて1
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黒尾がギシッとベッドに乗り上がった。


「せまいってクロ。こっちこないで。」


研磨は手を止めない。

黒尾はますます研磨の邪魔をしたくなる。


「…じゃあ俺が帰ってもいいのかよ。」


黒尾はぼそっと呟いた。


研磨は途端にゲームから目をはなし、

「……それは、やだ。」

と、恥ずかしそうに



……言うはずだった。





「うん。ばいばい。」



黒尾は雷に撃たれた。



そんなに……

そんなに面白いかよ!?!?

モンスター狩人ぉぉおおおっ!!!


研磨は手をふることもなく、画面から目を離すこともなかった。



「なっ…なめやがって研磨ぁあ!」
「!?!?」


黒尾がソフトを研磨から取り上げ床に叩きつけた。


「あっ、壊れる!」

「るせえっ!」


黒尾は研磨の上に覆い被さった。

顔が近い。


「クロ…なにするの。意味わかんない。ゲーム返して。」

研磨が睨んでくる。


「俺がいるってのに、ゲームゲームって…そんなにゲームが大事かよ?」


そんな睨みに怯える黒尾ではなく、研磨を睨み返す。


数分にも感じる数秒、二人が睨みあった結果…


「ご、ごめん。」

ギブアップしたのは、やはり研磨。
目をそらして黒尾に謝る。



黒尾はニヤリとする。

「そうだよなぁ?せっかく俺が来てるって言うのに、お前はゲームばっかりで…悪いよな?」

「で、でも、クロ週末はだいたい俺のいえに来るじゃん…」

「そんなの、高校に通ってる今だけだぜ?高校卒業したら、俺一人暮らしするんだからよ。研磨のところには、当分来られねーな。」



研磨は、しばらく黙っていた。



「高校卒業したら曜日感覚狂うからな〜。なかなか予定も合わねぇな。」





「…やだ。」


「え?」


「毎週…帰ってきてよ。」


研磨が、黒尾のトレーナーの裾を、きゅっと握った。
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