BOOK

□prologue
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 「孤独」な中学生ばかりが集まった、フードを被った不思議な集団。まだ中学生の彼らが背負う物語は、約35年も前から始まっていた____。


 人を失う事の痛み、仲間を救えない苦しみ...。
彼ら全員がそれぞれを知り、それぞれの傷を背負っている。彼女から初まり、彼女で終わる物語は悲しくも綺麗であり、そして儚い夢のようだった。
誰かを傷つけ、傷つきながらも生き続けた彼らの物語は、再び幕を上げようとしていた。____




≪主人公  楠木 涙≫

 現在14歳の中学2年生。
産まれて間もなく両親に捨てられたため、身内が見つからず孤児院へあずけられたが、本人は全く気にしていない。
小4の頃、天性の才能に目を付けた楠木家の当主により楠木家へと養子として引き取られたものの、仲間と共に過ごすために離れで暮らしていた。
幸せな時はすぐに終わりを告げるように翌年、不思議な飛行機事故により楠木夫妻が死亡。
その後本邸に移ってまた1年、彼女の前に立ち塞がったのは彼女と血を分けた愛する者だった。彼女の言葉は彼には届かず、彼女は3人もの愛する者を失った。
 その悲しみを乗り越えるために彼女が選んだ選択は、闇をさらに深くし、彼女の傷をえぐることとなる。

 2年後の今、彼女の深い闇は形へと姿を変え、彼女とともに仲間も追い詰めていく。
最後の最後、彼女が選んだ結末...それは___。


 彼女の深い闇の初まりは、35年前からだった。3つの人生を歩んだ彼女の1つ目の人生。全てはあの日、彼と彼女が出逢ってしまったあの瞬間にもう、始まっていた。

全てを愛し、全てを嫌った彼女が歩んだ道の全てが、天唄(そらうた)に込められている。



彼女の為だった...そう、何もかもが...。
彼女を換えたのは、"彼"の言葉。_____


≪藤 裕真≫

 涙達より1つ上の15歳。
 子供に興味のかけらも無い親元に産まれた彼は、必要不可欠なものしか与えられなかった。そのために、負った傷さへも癒すことができずふさぎ込んでいた裕真に笑顔を与えたのが野球だった。
 始めて間もない彼にも関わらず、腕はプロも認めるほどだった。野球をする彼に惹かれ、彼の足もとにひざまずいた3人の下僕。
やっと大切な友達ができた。そう思った矢先の出来事だった...。
 突然に巻き起こった戦いは、何も知らない彼から3人の下僕全てを奪っていき、そこで知ることとなった事実。
自分の中に流れている恐ろしい血...恨んでも恨みきれない父に苦しめられながら、2年の歳月が過ぎた。
 ある試合で肩を壊し、完全に笑顔を失った彼が病院で出会った少女。それが涙との"再会"だった。
彼女に勧められ始めたバスケは、たった3年で全国レベルへ。
 一方、彼女の過去を知り決意を固めた彼は、彼女の契約なしの下僕になる。彼女の相棒であり続けたい。


彼の願いははたして...叶うのだろうか。____

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