愛を込めて花束を-黄瀬涼太-

□揺ぎ
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夏休みが明け始めてからすぐ、青峰は自分と周りの力の差に違和感を感じ始めていた。

そして、ある練習試合でそれは自覚に変わる。


常に自分と対等に戦える好敵手を求めていた青峰は、心躍るはずの試合の対戦相手が悉く戦意を喪失していく姿を目の当たりにしてしまったのだ。


さらに、真面目に練習することで周りとの差が一層開くことに気付いた。


その日を境に部活の練習にすら意気込みを失ってしまい、遂には練習をサボるようになった。


それでも青峰に勝てる相手どころか、青峰に立ち向かって来る相手は現れず、彼の情熱は薄れていくばかりとなった。


彼は、バスケに対する『楽しみ』を失ってしまった。







そんな青峰の豹変ぶりに、チームメイトは動揺を隠せなかった。


赤司は裏で何とか説得しようと試みるも、青峰は乗ってこない。


緑間は青峰の名前を会話で出されることを嫌がり、紫原は表情が減った。


黒子は何とか相棒の傍に寄り添おうと必死に追いかけるが、どこか釣り合っていなかった。


桃井は泣きじゃくる時もあった。


そして黄瀬も、唯一の目標を見失い始めた。



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