愛を込めて花束を-黄瀬涼太-
□影の覚悟
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「...あーここか、誠凛」
一日の終わりを告げるチャイム音と同時に、ここでは見慣れない制服を着た美男子が正門に立つ。
「さっすが新設校、綺麗っスねぇ」
事は数時間前までさかのぼる。
「ぁ、笠松先輩ー!」
「...あ?」
移動授業のため校舎を移動していた美男子は、笠松を見つけるなり近寄っていった。
「先輩、今日ちょっと部活遅れるっス」
「んなっ...!!?
テメッ、小テストのやり直しなら休み時間にやれ!!」
「違うっスよ!
あれ、先輩の感が当たっちゃったんスもん。
ご挨拶行かなきゃっスよね...?」
「...!」
ちょっと不敵に笑った後輩の顔を見て、笠松は目を細める。
「...あー行ってこい。
ただし外周はいつもの五倍な」
「なっ、何でぇぇええぇええ!!!???」
(ほんっと、むちゃくちゃなことばっかなんスから...)
思い出してクスリと笑みをこぼしながら、美男子は誠凛高校の敷地内へと足を踏み入れた。