愛を込めて花束を-side story-
□2月14日-キセキのバレンタインデー -
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キセキの世代という名前がまだなかった頃...彼等が一年生のだった頃の冬―――2月14日。
今日は世に言うバレンタインデーだ。
チョコレートを主流としたお菓子業界が大きく儲かる日である。
この時期になると板チョコの値段は通常より値下げされ、多くの女性客が近場の店でどこが一番安いかなどと話題になるほどだ。
帝光中の女子生徒も、今日は一段とよく話す。
そんな彼等を横目に緑間は自分の席に座った。
彼の机の上には、普段と変わらぬラッキーアイテム。
それは、季節外れな『サンタクロースの靴』
あの赤い、上には白いふわふわとした毛がついているアレだ。
しかし、今日のラッキーアイテムは確かにそれなのだがこれではパーフェクトではないのだ。
「今日の蟹座のあなたは11位!
ラッキーアイテムはサンタさんの靴です!」
「その中に本日のイベント行事であるチョコレートを異性から入れてもらうと一気に運気UP!
一位の蠍座と同等のレベルに運気を上げることができるでしょう!!」
(どうしてこうなるのだよ...)
自分の運勢はまさかの下から二番目。
彼にとっては最悪の一日である。
逆転の可能性があるとしても、自分にはあり得ると言い切りがたい出来事に近い。
というより、可能性はゼロに近い。
(運勢が最悪というところからして、そのような大逆転の起こることなど...まずあり得ないのだよ)
人事は尽くしたつもりだ。
他者から指をさされながら手に持っているサンタの靴を持ち歩いていても、自分は動じなかった。
...緑間は、今日一日ブルーに過ごすことになる。