愛を込めて花束を-黄瀬涼太-

□女
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「なぁ〜...夏休み明けてからまたさらに磨きがかかったんじゃねーの?」



(...ナンパっスか、その発言は)



徐々に近づくにつれてかすかに耳に入ってくる言葉。



「ねえ、何カップ?」


「Ⅾ?...いや〜きわどいなあ」


「それ以上じゃね?」



(...聞き捨てならないっスね)


囲まれているのは男子生徒の発言からして女子だろうと予想した。



しかしこんな人数で一人の女の子を...



(!!!!桃っち...!!!??)



間違いない、囲まれている人物は桃井だ。


しかも相手が悪い...男子生徒は先輩の三年生も混じっていた。


桃井は何も言えず、困惑した表情でうつむいている。



「ねえ、今度俺と一緒にどうよ?」


「きゃっ...!!」


「!!!」


ガシリと体格のいい男子が桃井の肩を握る。


「〜〜〜桃っちッ!!!」


その様子を見てカチンと来た黄瀬は声を荒げる。









と、同時に。


「ぶっ!!!???」


桃井の視界から肩を掴んで目の前に立っていたはずの男子が消える。


「おっ...おい大丈夫か!?」


「て、てめえ!
 何すんだ!!?」


「あなた達こそ、一人の女の子に寄ってたかって何してるのさ」



何事だと教室から野次馬が次々と現れる。

見て見ぬふりをして通りかかろうとしていた生徒も呆気にとられている。



冷たく言い放つ小柄な人間。



「りっ...莉叶ちゃぁあん!!!」



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