愛を込めて花束を-黄瀬涼太-

□手強い相手
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「...合同体育?」


「ああ、別校舎の同学年とだってさ」



次の体育の授業のために、体操服へと着替えながら言う黄瀬の隣でクラスメートは答えた。


「しかも今日は女子の方の体育の先生が不在らしく、男女混合だとさ!」


「へえー、珍しいこともあるもんスね。
 てっきり女子は自習かと思ったっスわ」


「そしてそして!!
 なんとその合同クラスは俺等と二年Ⅽ組!!
 あの超美人の貴重な体操服姿を近くで拝めるってことだ!!」


「...超、美人?
 誰スかそれ?」


そう言った瞬間、首を傾げる黄瀬に向かって男子は着替える手を止め変に怒り出す。



「知らねーのかよ!!?
 あのⅭ組には誰もが目を奪われるという美女がいるんだよ!!
 見たことがある奴は少ないが、噂は男子の中では広がりまくってる!」


「まぁ、お前は女子から毎日ちやほやされてるもんな。
 男のトップですね、はいはい」


「流石、トップは違いますね〜。
 チャンスはいっくらでもあるから余裕だな」


「だからこそだよバカ!
 コイツがあの子に惚れちまったらどーすんだよ!?
 今回俺達男子は中々一緒に行われない女子との体育のチャンスを掴んだんだ!
 多くの女子の視線を少しでも貰って、運が良ければ美女の心も頂きってことだ!」


「馬鹿、お前には無理だっつーの。
 とにかく黄瀬、知らぬが仏だ」


「使い方間違ってるっスよ、最後」



うおおおー!!と燃え上がるクラスメートにため息をつきながら、軽くシャツの裾をズボンに入れる。



(俺にはもう、一人の女の子にしか興味ないっスよ)



そう心で呟きながら、周りと一緒に教室を出た。



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