愛を込めて花束を-黄瀬涼太-

□咲いた花は太陽を見失う
2ページ/2ページ



ダンッ!!

ボールを付く音と同時に二人が動き出す。



一点目は、赤司が先制した。



「...ふ〜ん?
 こんなもんだったっけ?」


紫原がふぅっと息を抜くと、仕掛けてきた。


赤司は行き先を拒もうとカウンターをした...はずだった。



バコンッ!!!



「あまり調子に乗らないでよ...赤ちん」


その先に、彼が...紫原の姿。


たらりと赤司から汗が滴る。






見ているこっちが苦しくなるほど、コートの中の二人の動きは早い。



しかし、どこか紫原には余裕が見える。




そして、点数が並ぶ。
4対4。
あと一点先に入れたほうの勝ち。





「...も〜いいよ、ほんと」


「...?」


最後の顔合わせになった紫原が赤司を見下ろして言う。


「赤ちんの言うこと、俺聞けない。
 これで今から俺が動いた瞬間に、赤ちんのゴールに俺のボールが入る。
 ...赤ちんの、『負け』」


ピクリと、赤司の肩が動いた。



「ぉ...おい!赤司!!」



と同時に、紫原は攻撃を仕掛けてきた。


が、戦意喪失したのか、自分には敵わないと思ったのか彼はその場から動かない。










(『百戦百勝』...そう、勝たなければならない。
 誰が相手でも、何があっても。
 ...でなければ)



(...?)



自分を追う気配のない赤司に一瞬疑問を感じて、紫原はチラリと振り返る。




(この世は勝利が全てだ。
 勝者は全てが肯定され、敗者は全てが否定さる)
「全てに勝つ僕は―――」






「「「「「!!!!!?」」」」」






「―――全て正しい」


to be continued


前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ