愛を込めて花束を-黄瀬涼太-
□わたしという人間の、終わりと始まり
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わたし白鳳莉叶、中学二年生
帝光バスケ部マネージャー
勉強もまあそこそこ出来て、スポーツも好きで、実は料理も出来る
案外家庭的だったりする
同姓の友達も普通にいて、一緒にお弁当食べたりお話したり
一番仲が良くて接点の多いのは同じ部活に所属する桃井ちゃんだけどね
黒子にメロメロな彼女の惚気(?)話を聞いたり、アドバイスしたり
と思えば桃井ちゃんモテるから変な虫も付く
それにいち早く気付いて蹴散らすのもわたしの仕事
普段は特に目立たないわたしが蹴りなんて入れてるのを見た知り合いからは、しばしば印象が変わってしまうほどのギャップらしい
ぶっちゃけた話、わたしは見た目に合わずかなり行動するタイプで蹴りも入れるわ血が上ると言葉も冷たくなるわで...男扱いはちょっと雑なのかもしれない
反面、自分以外の女の子に対しては紳士的で同姓の同級生友達に後輩と、憧れの女性像として映る人もいるみたい
とにかく、『誰に対しても平等に』
これがわたしのモットー
絶大な信頼関係を結んでいる一軍バスケメンバーにも例外ではない
...彼等には思い入れがある
小学生の頃のわたしのバスケを見て、それでわたしを追っかけてここに集ってくれたと聞いた時は正直嬉しかった
バスケから完全に身を引こうと考えていたけど、正面から向かい合ってくれた彼等に惹かれてバスケ部マネージャーとしてボールに触れていた
彼等には、特別な才能がある
それは自分と同じようなモノだ
楽しそうに毎日練習に励み、仲間を持った彼等の姿を昔の自分と重ね合わせて見ていると...自然と笑顔になっていた
確かに色々あった
虹村先輩が早くに主将の座を赤司に譲り、バスケ部から消えた
黄瀬が入ってくるとすぐに、共に戦ってきた暴れん坊の灰崎が退部
でも、やはりバスケが楽しかった
そして...わたしは黄瀬涼太が自分を振り向かせようとしていることに気付き始めた
初めは...うっとおしかった
何でわたしなの?
可愛い子ならたくさんあなたの周りにいるじゃん
それでも彼は、わたしを追いかけた
三年に絡まれた昼休み、自分の力で対処できたのになぜか彼がわたしの前に立った
チャラチャラした黄瀬涼太はその時いなかった
そして、彼はわたしのピンチに一番に駆けつけて来てくれた
「ありがとう」と彼に言った言葉が、自分で言っといて何だか冷たかったような気がした
合同体育で彼がバスケ以外のスポーツをするところを初めて見た
きっと、彼はなんでもできるんだ
そう思ったのと同時に、嫌に自分と重なった