愛を込めて花束を-黄瀬涼太-
□追憶
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コンコンッ
「お邪魔しまーす」
返事のない部屋に桃井は入る。
そして、真っ白な部屋の中には大親友の莉叶が眠っていた。
そう、ここは彼女が眠る病室。
返事は帰ってこないことはわかっているのに、毎回桃井はノックを欠かさず、そして声を出す。
「莉叶ちゃん、なんか今日は顔色良さそうだねー?
いい夢見てるのかな?」
そう言いながら、桃井は彼女の隣に置かれていた椅子に座った。
桃井の制服の胸には、入学式同様の水色の花が飾られていた。
季節は巡り、春の香りが漂う季節になっていた。
...今日は、帝光中の卒業式だった。