愛を込めて花束を-黄瀬涼太-
□挑戦者
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そのまま黄瀬に案内された誠凛は、無事体育館に着くことができた。
だが、中は海常バスケ部の練習中で片面のみが練習試合用に整備されていた。
「よろしく、監督の武内です。
ところでそちらの監督は?」
「あぁ、私です」
「は!?君が!?
マネージャーじゃなかったのか!!?」
「監督の相田リコといいます、今日はよろしくお願いしまーす!」
「お、おう...」
不意打ちを喰らったかのように頷く海常監督。
「...で、あの...これは?」
リコは視線を隣のコートへと移す。
「見たまんまだよ。
今日の試合、うちは軽い調整のつもりだが。
出ない部員に見学させるには学ぶものがなさすぎてね、無駄をなくすため他の部員達には普段通り練習してもらってるよ。
だが調整と言っても、うちのレギュラーのだ。
...トリプルスコアになどならぬよう頼むよ」
「〜〜〜!!!!!」
リコの笑顔がドス黒く染まる。
誠凛メンバーも今の言われようにはむかついた。
特に怒りのオーラ丸出しでいる火神を見て、黒子は一瞬困った顔をしたがすぐに小さく笑んだ。
「黄瀬、何ユニフォーム着とるんだ。
お前は出さんぞ?」
「え?」
いそいそとユニフォームを着てアップしようとしている彼に向って、海常監督はあっさり言う。
「各中学のエース級がゴロゴロいるうちの中でも、お前は格が違うんだ」
「ちょっ...!
監督やめて!そういう言い方マジやめてっ...!」
「お前まで出したら試合にまでならなくなってしまうだろ」
同チームの自分から見たら先輩達の中で黄瀬に海常監督は告げる。
あたふたとする黄瀬は、はっとなって誠凛に顔を向けた。
「...言ってくれるねえ...」
「久々にカチンと来た...」
日向と伊月はその場から去った海常監督の背を睨み付けて言い放った。
「すいません!マジすいません...!
ベンチには俺入ってるから...」
あの人ギャフンと言わせてくれれば多分俺出してもらえるし
こそっと誠凛にフォローを入れる黄瀬。
「それに...」
「?」
「そもそも俺を引きずり出すこともできないようじゃ、キセキの世代を倒すとか言う資格もないしね?」
そして、威圧をかける。
「...いや、アップはしておいてください。
出番待つとかないんで」
そう言い放ち、黒子は更衣室へと歩き始める。
(...)
姿が見えなくなった彼等へ向かって、黄瀬は口角を上げた。