愛を込めて花束を-黄瀬涼太-

□挑戦者
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整列し、挨拶から始める。


が、やはり黒子の存在を忘れられているようで彼が声を発すると海常から叫び声が上がる。

...恒例行事のように。






「...話にならんな。
 大口叩くからもう少しまともな選手が出てくるかと思ったが...」


「どースかね」


「?」



ベンチに座っている海常監督。

その隣で黄瀬が言う。



「...まぁ、確かにまともじゃないかもしれないっスね...」





ホイッスルが鳴る、と同時にボールが宙に舞う。


ボールを取ったのは海常だ。




「よし!
 一本、きっちり行くぞ!!」


キャプテンである笠松がボールを握る。


チームメイトが固定の位置に動くまでの間、時間を稼ぐ。



が。







「―――ッ!??」


遅いと言わんばかりに彼の手からスルリとボールが奪われる。



一瞬ボールを見失った笠松だが、背後では黒子がリングに向かって走っていた。




「どっから湧きやがったコイツッ...!!」
(コイツ、遅ぇ...!!)


あっという間に追いつかれた黒子、だがボールは方向を変えて飛んでいく。



...火神にボールが渡ったのだ。

彼はそのままダンクシュートを打ち込んだ。




「ぃょぉっしゃぁあああ...ぁ?」


火神は自分が何かを握っていることに気が付く。


右手には、リングがあった。




「ゴっ...ゴールぶっ壊しやがったぁああ!!?」





「...危ねぇ...ボルト一本下げてるよ」


「それでも普通ねーよ...」


伊月の発言に隣で言う笠松。








「すいませんでしたー!」


ベンチではリコが変に明るく海常監督に頭を下げている。


「すいません、ゴール壊しちゃいました」


追い打ちをかけるように黒子も海常監督の前に行って頭を下げる。




「これじゃ試合にならないんで...前面側のコート、使わせていただけませんか?」


ギリギリと歯を食いしばりながら物凄い顔をしている海常監督を見て、火神はニタリとリングを片手で担いだ。



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