愛を込めて花束を-黄瀬涼太-
□光と影の関係
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誠凛高校との練習試合が行われた翌日。
海常男子バスケ部は、昨日の内容のリビジョンを兼ねて個人練習をメインに取り組んでいた。
各それぞれのポジションにいる個人の役割をはっきりさせる。
さらに自分の弱点克服並びに得意とする技の強化。
皆、昨日の誠凛との練習試合をイメージしながら汗を流していた。
(昨日はあそこからあの10番の火神が、ここからドリブルを...で、あの影薄いのがこっから俺を抜いた!)
シュミレーションしながら、目の前にいるはずのないあの二人に笠松は再度...動きを止めてしまう。
「...クソッ...」
止まってしまう。
上手く交わすことが出来ない。
自分の自慢のターンアラウンドで納得のいくキレが出せない。
「...っふー...」
一旦深呼吸を入れる。
落ち着け...まだ時間はある、が...インターハイはそう遠くない。
予選はもうすぐそこまで近づいてきている。
早めにあの一年コンビをなんとかする策を練らねーと...
汗を拭っていた笠松は、ふと自分の後ろのコートの端で練習をしているあの後輩を見た。
彼にとっては、昨日が人生初の敗北だったらしい。
それはそれでムカつくが...
(...あの後だってのに、やけに落ち着いてんな...)
...やっぱり、さすがキセキの世代と言ったところか...
(...つーか)
「テメエさっきからずっと床にボール付いてるだけじゃねーかいい加減にしろ!!!!!!」
「だはぁっ!!」
笠松は、後輩-黄瀬-を背後から蹴った。