愛を込めて花束を-黄瀬涼太-

□一つ、一つ
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「―――よぉし、休憩だ!!」


切りがいいところで、キャプテン笠松が指示を出す。




「ふー...」


ドサリとコートの外で座り込み、タオルで汗を拭く笠松。



「お疲れさまっス」


「...!」



そんな彼にドリンクを差し出してきたのは、黄瀬だ。




「サンキュ」




そんな彼に一声かけ、素直に受け取る。




「...まだまだ締めていかねーとな」


ドリンクを口に含んで呟く笠松。



...の、隣で黄瀬は自分のカバンから伝わる振動に反応する。





「出場決まったからって呑気にメールか?!
 ...女だろ」


「違げーっスよ」



へにゃりと笑ってスマホを手に取る黄瀬。


通知を見て、今さっき受信したメールを開く。






...そこには、一言文字が書かれていた。












『死ね』












「先輩ぃ!!
 『頑張れ』の返信が『死ね』ってどう思うっスか人として!!!!!?????」


「わっかんねーけどそのままだよどーっせ!!!!!」


「うががががががっ!!!...」



耳元で叫ぶ黄瀬の顔面にシューズを履いたままの足でグイグイと押す笠松。







「いってぇー...酷いー...」


「...で、誰にメール打ったんだテメーは?」


「緑間っちっス」


「...!」




その宛先人の名を聞き、ピクリと反応する笠松。




「...で、元チームメイトのお前に『死ね』の一言。
 ...学校も世代も超えて、お前の扱いはどこも一緒なんだな」


「何スかそれ!!?」



久々のオーバーリアクションを取る黄瀬。


うるせえと再度怒鳴りつける笠松。





「...で、先輩。
 この練習終わった後、その試合観に行かないっスか?」


「あ゛−?」


「絶対、面白いことなりそうっスよ...!」


「...性格悪ィな、お前」



笠松は再び、水分を口に含んだ。



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