愛を込めて花束を-黄瀬涼太-

□相性最悪試合
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第1Q残り3分半―――誠凛はタイムを取った。




「...ありゃりゃ〜...困っちゃったね、誠凛」


「...気を抜くな、黒子はこれで終わるような奴じゃない」


「大丈夫だって。
 影の薄さ取ったらただの雑子だろ」



ベンチに腰掛け給水を取っている高尾、そしてその隣には緑間。




「...俺があいつのことをなぜ気に喰わないか、わかるか?」


「ぁ?」



ぽつりと言った緑間に、高尾は反応する。



「...それは黒子のことを、認めているからだ」



身体能力で優れているところは一つもない

一人では何もできない

にも関わらず、帝光で俺達と同じユニフォームを着てチームを勝利に導いた




「...あいつの強さは俺達とは全く違う」


...異質の強さなのだよ



「だから気に喰わん。
 俺の認めた男が、力を生かしきれないチームで望んで埋もれようとしているのだからな。
 ...彼女のように」


「...?」



...歯がゆい時代を、思い出してしまうな



「...」
(真ちゃん...?)




一瞬、彼の空気が変わりそれに気付いた高尾があえて黙った。





タイム時間終了、再びコートに選手が戻る。


だが、一日二試合をしている両者。

しかし、明らかに秀徳よりも誠凛の方が肉体的にダメージを喰らっている。


さっそく息切れが始まり、パワー負けし始めた。




日向が大事なところは3Pで決めてはくれる。

が、黒子のパスが完全に高尾のホークアイで封じられつつあった。




(...らしくねーっスよ黒子っち。
 同じミスを繰り返すなんて...!)


黄瀬の表情が厳しくなる。


追いうちをかけるように、緑間がセンターコートからシュートを決める。


それによって黒子の長距離パスは完全に通用しなくなった。



だが、火神も3Pシュートの態勢を取りボールを放り投げた。


そして、リバウンドしたボールをさらに自分で処理...リングにぶち込む。



半分以上めちゃくちゃといえばそう言えるプレーを見て、黄瀬と笠松も呆気にとらわれ、かつ、苦笑いする。








「―――俺のシュートレンジャーは、そんな前ではない」


「「「「「「!??」」」」」
(オイ、嘘だろ...そんなとっから、何メートルあると思ってんだッ...!!?)



「言ったはずだ、そんなに俺から離れていいのかと」




俺のシュート範囲は、コート全てだ





第1Q終了のブザーが鳴り響く中、緑間は誠凛の未来をかき消すようなシュートを決めた。



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