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□はじまり
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「俺、お前の事ずっと忘れないから」




あれからどのくらい過ぎたのかな…
星野がそう言い残して、この地球を去って行ったのは…
まもちゃんが戻って来てくれて本当に嬉しくて幸せだった
その思いしかなかった

だって貴方がいなくなるって…もう会えなくなるって頭では理解してたけど…
心が理解してなかったの

そんな事今さら言えないよ
言える訳ないよ
だって私には、ちびうさや未来があるから
決められた未来があるから
今の平和を…未来の約束された平和を…壊したくない!!

でも…
でも私の心がついていかないの
苦しいよ…
苦しいよ…星野




「うさこ」


ハッとして我にかえる
ここは恋人衛の部屋
うさぎは遊びに来ていたのだ

「ま…まもちゃん、ごめんね!何か私、ボーッとしちゃってた」

テヘッと舌を出してみせる
その様子に優しい笑顔で返事をする

「いや、いいよ。何か悩み事か?」

優しい表情で尋ねてくる
まもちゃんは、いつでも優しい
いつも大きな愛で包んでくれる
それが大人の余裕なのかな…?
こんなに優しい人、傷つけちゃダメだよ
ダメだよ!うさぎ!!

うさぎは気持ちを封印するかの様に衛に抱き着いた




〜キンモク星〜
「ファイター、そちらの方は終わりましたか?」
「ええ、こちらはもう終わりよ」
「では、今日は終わりにしましょう。ヒーラーにも伝えに行って来ますね」
ファイターは頷きメイカーを見送った

地球からキンモク星に戻って来て早3年が過ぎた
この星の復興は絶望的かと思われていたが、セーラームーンの力のお陰である程度は元に戻っていた
だが、完璧に星を復活させるには3年という月日が必要だった


おだんご…


ファイターは変身を解き星野光の姿になった
そして、わずかに月の力が感じ取れる場所まで移動し空を見上げた


星は元に戻っても俺の心はあの時のまま

ずっと忘れない……
忘れないどころか想いは募っていく一方だ

会いたい…一目でいいから会いたい
もし許されるなら触れたい
おだんご………



「ファイター…星野。プリンセスがお呼びだけど」

銀色の髪を揺らしながら呆れたようにヒーラーが伝言を伝えに来た

「また、ここにいたんだね。」
「ああ、ここにいたら少しでも感じれるから…おだんごのこと…」

そう寂しそうに呟く彼の横顔を何も言えず、ヒーラーはジッと見つめた

「悪りぃ!!気を遣わせちまったな。今、変身するよ!!」

星野はファイターの姿に戻りヒーラーと共にプリンセスの元へと急いだ




王宮に戻り玉座の前に行くと、メイカーもひざまずき待機していた
その様子を見て慌ててファイター、ヒーラーもひざまずきプリンセスのを見上げる

「遅くなって申し訳ございません」
「いいのよ。ファイター…急に呼び出したのは私です」

ニッコリと笑いファイターに視線を落とし、火球皇女は穏やかな表情で続けた

「今日、私が3人を呼んだのは今後の事についてお話しするためです。地球から戻って3年になります。貴方方の使命期間も後1年となり、時期セーラー戦士も十分に育ってきています」

何処から現れたのか…時期セーラー戦士もファイター達の後ろでひざまずく

「少し早いですが、貴方方には退任して頂きたいのです」

「「「プリンセス!?」」」

火球皇女の言葉に3人は驚き思わず立ち上がる

「3人共、最後まで話を聞いて下さい」

火球皇女は表情一つ変えず、尚穏やかに言った

「貴方方3人は地球でセーラームーンと共に銀河を救い、この星を救ってくれました。
あの青く美しい星に想いを残してきた事…私は知っています。
なので、まだ変身出来る今…地球へと飛び立って欲しいのです」

3人は意味が分からず、ただ目を見開いたまま固まっていた

「セーラー戦士でいる間は流れ星として他の星に移動も出来ますが、セーラー戦士ではなくなった時…二度と移動は出来なくなります。
そうなる前に地球に行って欲しいのです。
ファイター…ここから想うだけじゃ何も伝わらないんですよ」

そう言い、クスッと笑う火球皇女
何もかも見透かしたような目でファイターを見つめた

「でも、プリンセス!!私は…私は…」

「ファイター…人生は長いのです。
これまで頑張ってきた貴方方に、私は我慢などさせたくありません。
月のプリンセスにお相手がいらっしゃること…私も知っております。
ですが、それで諦めるのはファイターらしくないと思います」

最初から変わらない穏やかな表情でファイターを見つめる
すると、いつの間にか変身を解いた夜天が口を挟んだ

「僕は行きたいけどな。また、スリーライツやるのも悪くないし」
「そうですね。また地球でスリーライツするのも良いですね。
久しぶりに皆さんとも会いたいですし」

大気も変身を解き、後は星野だけだと見つめる

「夜天…大気…」
「ファイター…貴方の未来です。
貴方が決めなさい」

皆からの視線を一身に受け星野はうつ向き考えた

俺は…俺はどうしたい??
俺は…
俺は…おだんごに会いたい
おだんごに今すぐ会いたい!!

グッと拳を握りしめ心を決めたファイターは変身を解き星野の姿になるとプリンセスの方を向き叫んだ

「プリンセス、俺…俺も地球に行きます!!行かせて下さい!!!」

その言葉に火球皇女の表情はパッと明るくなり嬉しそうに微笑んだ

「どうか貴方の恋が実りますように祈っています。
そして、メイカー、ヒーラー…貴方方も」

意味深に笑いメイカー、ヒーラーを見る火球皇女に星野は驚いた表情で2人を見る

「お前らもって…どういう事だよ?!」
「そういう事です」
「星野は自分の事にも人の事にも鈍いんだよ」

2人共呆れた表情で星野を見た

「そうと決まれば早く行こうよ!!せっかくプリンセスがくれた時間なんだしさぁ」
「それもそうだな!!」

3人は顔を見合わせ再び変身しプリンセスの方へ向いた

「それではプリンセス行ってまいります」

メイカーがお礼を言うとプリンセスが微笑み頷いた

「どうか気をつけて。それと各々の誕生日には一度戻ってきて下さい。良いですね?」

3人は頷き地球へと急いだ

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