ONE PIECE

□Episode6
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「………それから20年間、誰も来なかったのか?」

「いや…来たさ、幾度となく…!!財宝狙いの海賊共がな…全て追い払ってやった…!!”森の裁き”でな。目について離れねェのさ。あの時、確かに大岩の上で見た財宝が!!ただ、この箱にハマっちまったが為に!!おれは20年間財宝を、守り続けて来た!!!あれはおれのだ!!!」

そう豪語するガイモンにルフィとマクルは頷く。

『うん!!間違いない!!』

「そりゃ、おっさんのだ!!」

「わかった!!ガイモンさん!!その宝!!あなたの代わりに取ってあげるっ!!!」

「なに!!本当か!?よかった!!お前らに話してよかった!!」

意気込むナミと感謝するガイモンだが、ルフィがサラリと呟く。

「お前、海賊専門の泥棒だったよな、たしか」

「バカな事言うな!!!私だって場くらいわきまえるわよっ!!!」

















「ここがそうだ。おれも久しぶりだ…ここに来るのは」

ガイモンに案内されルフィ達は例の大岩の所までやって来た。

「でも何で今までにこうやって、頼まなかったんだよ。人に」

「誰も信用出来なかった、それだけだ。少なくともおれの姿を見て、おれと話そうなんて奴はいなかった」


「畜生ォ!!畜生ォ!!こんなに近くに宝があるのに!!畜生ォオ!!」

大岩の前でガイモンは叫んだ。



すぐ近くに宝があるのに手が届かないもどかしさと悔しさが続く毎日。

だが、それも今日で終わり。宝が手に入るという喜びに、ガイモンは嬉しそうに言った。

「遂にこの時が来たか!!今日はいい日だ!!!」

するとナミが大岩のてっぺんを見たまま、ルフィとマクルの肩にとんっと手を置いた。

「よし…いけっ」

「『(おれ/あたし)が行く(のか/の)』」

「私が登れる訳ないでしょ。こんな大岩!!」

「頼むぞ麦わら!!嬢ちゃん!!」

「よし…」

ルフィは片腕を伸ばすとマクルの腰に巻き付け、もう片方の手を大岩のてっぺんに伸ばし、軽々しく登る。

「おォ!!!やった!!」

暫らくすると宝箱を抱えたルフィとマクルが姿を見せた。

「あったぞ宝箱っ!!!」

『5個も!!!』

「よっしゃ、でかした!!ここへ落としてくれ!!それを!!おれに当たらんようにな!!わっはっはっはっはっはっは!!」

「『いやだ』」

2人の答えに、下にいるナミとガイモンは目を丸くした。

「なに!?」

「…………な…なにバカな事言ってんのよ!!!冗談やめて早く落としなさいよ!!それ全部!!!こっちへ渡して!!!」

「いやだね、渡したくねェ」

『絶対にね』

「あんた達いい加減に」

「いいんだ!!もういい!!渡したくないんなら!!!」

怒鳴るナミをガイモンは必死に宥めるが、彼が20年間必死に守り続けた続けた宝。納得がいかなかった。

「言い訳ないじゃない!!どうしてそんな事言えるの!?あの宝は…」

「麦わら!嬢ちゃん!」

ガイモンは不意に、岩山のてっぺんの2人に声をかけた。目に涙を溜めて。

「…お前等は……いい奴だなァ…!!!」

「な…何よ、それ!!!」

「うすうすな…もしかしたらってな…思ってたんだ…!!」

「『……』」

2人は黙ってその場に腰を下ろした。

「なるべく、考えるない様にしてたんだが」

ポロポロと涙が零れ落ちる。

「ないんだろう。中身が」

「え」

『………うん、全部空っぽだったよ』

「宝の地図が存在する財宝には……よくある事なんだ!!はうっ…!!地図を手に入れた時には、宝はすでに奪われた後だったって事は…」

「そんな…!!20年も守り続けた宝が、ただの箱だったなんて…」

「…………だっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!」

突然、ルフィが豪快に笑い出した。

「まァ、くよくよすんなよ、おっさん!!20年でおれ達が来てよかったよ!!」

『あと30年遅かったら死んでたかもね!!』

「麦わら…嬢ちゃん…」

「ルフィ…マクル…」

2人の異常な程の能天気さ。だが、それがガイモンを救う1番の方法だった。

「これだけバカみちまったら、あとは”ワンピース”しかねェよ!!」

『もう1回あたし達と海賊やろう!!』

「お前等…おれを誘ってくれるのか…!!」

ガイモンは嬉しそうに笑った。










「………本当に、この島に残るのか?おっさん」

海賊になろうという誘いを断り、島に残る事にしたガイモン。彼は岸までルフィ達の見送りに来ていた。

「ああ、誘ってくれて嬉しかったぜ…!!宝はなくなったが”森の番人”は続けてェんだ」

「どうして?」

「あの森には珍しい動物がたくさん住んでるんだ」

「ああ!変な…ヘビとかブタとかね!!」

「この島に来る奴らは、宝よりむしろ珍獣を狙う方が多かった。さすがに20年居りゃ、動物達にも愛着がわく。あいつらを見捨てる訳にはいかねェ!!」

「おっさんも珍獣だもんな」

「ブッころすぞ!!」

ルフィの一言にガイモンは勢いよく怒鳴るが、心を沈めて静かに話しを続ける。

「それにな、宝がなくなって気が楽になった。おれは改めてこの島でのんびりやるさ!」

『そっか!残念だな、おじさん面白いのに』

「お前等には必ずいい仲間が集まる!!”ワンピース”はお前等が見つけて、世界を買っちまえ!!」

「ああ!!そうする」

『じゃあね!!』

ガイモンと別れの挨拶を交すと、3人は小船に乗り込んで帆を張る。










──戦う男ガイモンさんを後にして、船は再び”偉大なる航路(グランドライン)”へ進路をむける──。──































2016/10/12
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