ONE PIECE

□Episode3
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「ほんと!?」

町でコビーと女の子と合流したルフィとマクルは、彼女にゾロの伝言を伝えていた。

「ああ!一つ残らず、バリバリ食ってたよ」

「うれしいっ!」

「あの人…本当に噂通りの、悪人なんでしょうか…」

「違うよ。だって、あのお兄ちゃんは何も悪い事してないもの。町のみんなは恐がってたけど。捕まっだって私を助けるために、モーガン大佐の息子が飼ってた狼を斬っちゃったからなの!」

『ふーん。やっぱいい奴じゃん』

予想通りと笑うマクルに、女の子は大きく頷く。

「そうだよ!それまでは野放しで狼が、町を歩き回ってみんなすごく困ってて…!!」

「じゃあゾロが捕まった理由ってのは…アイツ(ヘルメッポ)の飼い狼を斬ったってだけの事なのか」

「うん」

「そうか…!!それもそうですよね。彼の気性の恐ろしさはさておき、賞金首を狙う事が罪になるわけありませんからね」

「悪いのはモーガン親子よ!!少しでも逆らえば、すぐ死刑で、みんなびくびくしてるの」

女の子からモーガン親子の話を聞いていたその時、

「ひぇっひぇっひぇっひぇっ!!」

噂の人物の笑い声が聞こえて来た。

「頭が高ェっつってんだろ、親父に言うぞ!!」

「『!』」

その声に振り返ると、町人達が頭を下げて座り、ヘルメッポの為に道を開けており、彼はそこを部下を連れて偉そうに歩いていた。

「ロロノア・ゾロみてェに磔になりてェか!?三日後にはゾロの奴を公開処刑にする!!みせしめだ楽しみに待ってろ!!」

「『三日後?』」

ゾロから聞いたヘルメッポとの約束と、今の彼の発言は矛盾していた。

『ねー、1ヶ月の約束は?』

気になったマクルが訊ねると、ヘルメッポは不細工な顔で笑いながら答える。

「なにィ?誰だ貴様。どこで聞いた、ズが高ェな。そんな約束ギャグに決まってんだろっ!!それを本気にする奴も、また魔獣的にバかだけどな。ひぇっひぇっ〜」


「1ヶ月たえれば助けてやると、あの馬鹿息子が約束してくれた」


その約束が嘘とは知らず、疑う事無く信じ、夢の為に真剣に生き延びようとするゾロ。
彼の事を思うと怒りがこみ上げてきて、手を出さずには居られなかった。


ドカッ!!ドカッ!!!


「!!!!」

ルフィが殴ったヘルメッポを、マクルが蹴り飛ばした。

「キャーーーーーっ!!!」

「キャーー」

町人達はルフィ達の行動に騒ぎ出すし、コビーは2人を抑えようとする。

「ルフィさんっ!!マクルさんっ!!」

「こいつクズだ」

『見た時から嫌い』

「やめて下さい、落ち着いて!!!海軍を敵に回す気ですか!!!」

『決めたよコビー!!』

「え?」

「…おれ達はゾロを仲間に引き込む!!!」

魔獣と恐れられる強さ、他人を助けられる優しさ、夢を追いかける姿。仲間にするに何一つ文句は無い。

「や…やりやがった…!!あいつら誰だ!!!」

「大佐の息子を殴りやがった…!!モーガン大佐が黙ってないぞ!!!」

「ルフィさん!!マクル!!こらえて下さい!!仮にも相手は海軍です」

1度手を出しただけでは落ち着かない2人を抑えようと、コビーは必死に彼等の手を引く。

「知るか!!何やっても、クズはクズだ!!」

『どうせあいつは自分じゃ何も出来ない腰抜けだ!!!』

部下に手伝ってもらい、半身身を起こしたヘルメッポ。
ルフィに殴られた右の目元が腫れている。

「な…な…殴りやがったな!!このおれを、殴りやがったな!!親父にだって一度も殴られた事ねェのに…!!」

痛みに目に涙を貯めて、彼は怒鳴り散らす。

「おれは海軍大佐モーガンの御曹司だぞ!!!親父に言いつけてやる!!!!」

「「「!!!」」」

「親父に言いつける」その言葉を聞いた町人達は、ビクッと肩を震わす。

「『お前がかかって来いよ』」

「ルフィさん、マクルさんやめて下さい!!」

虎の威を借る狐。親の地位と権利を利用して、自分では何もしないヘルメッポを、2人は相変わらずの状態で睨みつけた。

「おれを殴った事を後悔しながら死んで行け。お前らは死刑だ!!!親父に殺されちまえ!!」

そう言い残すとヘルメッポは部下の肩を借りながら、その場を逃げ去った。

「あんな奴これ以上殴る価値もねェ」

『…』

「バーカ!!」

「いっちゃった」

すると女の子が嬉しそうにルフィ達に近づいて来た。

「すごいのね。お兄ちゃん、お姉ちゃん。私、胸がすっとしちゃった!」

「そうか?じゃあ、もっと殴っときゃよかったな」

『あはは、そうだね』

さっきまでの怒りは何処へやら、2人は女の子に笑いながら答えた。

「リ…リカ!!こっちへ来なさい!!」

それを見た女の子─リカの母親は彼女を呼び、家の中へと連れて行く。

「あの人達と口を聞いちゃだめ!仲間だと思われたら、リカも殺されちゃうのよ」

「『……』」

「だってママあの人達はいい人よ!ゾロって人だって…」

「バカな事言わないの!!まさか磔場へは行ってないでしょうね!!」

「う…うん。行ってないよ…!!」

「さ、早く家へ入って!!」

母親に背中を押されるリカの表情は寂しそうで、ルフィとマクルは笑顔で手を振った。
そして家のドアが閉まった途端、コビーは頭を抱えて叫び出した。

「やっぱり、ただじゃ、済みそうにありませんよ!!例の大佐が怒って、下手すれば海軍が動く恐れも…」

「その時はその時だ!おれ、ゾロにあってくる」

『わかった、いってらっしゃーい!』

今敵対したばかりの海軍基地に向かうルフィをマクルは手を振って見送った。
そんな呑気な2人だが、コビーは落ち着いては居られなかった。

「ど、ど、ど、ど、どうしましょう!!ルフィさん達海軍の敵になってしまったぁあ!!」

『まぁまぁ、落ち着きなって』

「落ち着いてなんていられませんよ!!!マクルさん達が海軍の敵になってしまったんですよ!!?それなのにルフィさんは敵地に行ってしまうし!!!」

『大丈夫だよ、あたし達強いからね。それに今行かなくちゃ行けないんだよ。なんせゾロを仲間にするからね』

今助け出さなければ、彼は処刑されてしまう。

「…!」

『んじゃ、あたしも行くよ』

マクルはのんびりと歩き出した。
敢えて「一緒に行こう」とは言わなかった。コビーの夢が海軍に入る事だから。

しかし数歩歩いたところで、自分を呼ぶ声が聞こえた。

「マクルさん!!待ってください!!…ぼ、ぼくも行きます!!」

果たしてこの海軍は本当の正義なのか。自分が目指す海軍はこの様な所なのか。…いや、違う。ならば行動はただ1つ。

「ぼくもゾロさんを助けたいです!!」

足を止めて振り返ったマクルは、ニッと笑っていた。

『おう!行くぞ!!』

「はいっ!!」


















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