ONE PIECE
□Episode4
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広い海の上、ルフィとマクルとゾロの3人を乗せた小舟は進んでいた。
「あーー腹減ったーーー」
『あーーここはどこだろーー』
とは言っても彼等3人は航海術の欠片の知識も持っていない為、海を風と波任せに進んでいるだけ。
「…………だいたい、お前らが航海術持ってねェってのはおかしいんじゃねェか?」
『おかしくないよ。だって漂流してたもん、あたし達』
「お前こそ海をさすらう、賞金稼ぎじゃなかったのかよ」
「おれはそもそも賞金稼ぎだと、名乗った覚えはねェ。ある男を探しにとりあえず海へ出たら、自分の村へも帰れなくなっちまったんだ。仕方ねェからその辺の海賊船を狙って、生活費を稼いでた…それだけだ」
「『何だ、(お前/ゾロ)迷子か』」
「その言い方はよせ!!」
ゾロはすかさずツッコミを入れた。
「まったく…!航海もできねェなんて、海賊が聞いて呆れるぜ!これじゃ“偉大なる航路(グランドライン)“も目指し様がねェ。早ェこと“航海士“を仲間に入れるべきだな」
「あと"コック"とさ"音楽家"とさァ…」
『うんうん』
指折り数えるルフィと横で頷くマクルに、ゾロは再びツッコミを入れる。
「んなモンあとでいいんだよ!!」
「「『(腹/お腹)減った』」」
だが、何日も飲まず食わずの彼等は空腹に耐えられず、仰向けに倒れた。
すると丁度船の真上を飛んでいた鳥が目に入った。
「お、鳥だ」
「でけェなわりと…」
『乗れそう…』
少しの間を置いて、ルフィががばっと身を起こして言う。
「食おう!!あの鳥っ」
「?どうやって…」
『え?乗りたいよ』
「おれが捕まえてくる!まかせろ!!ゴムゴムの…ロケット!!!」
ルフィは船の一部を掴むと、ゴムの縮む力を使って鳥に向かって飛び出した。
「!なるほどね…」
『あー!行くならあたしも連れて行ってくれれば良かったのに!!』
2人がルフィの様子を見守っていると、パクッと言う効果音と共に彼は鳥の口に咥えられた。
「はっ!」
「は!?」
『あはは』
そして鳥はルフィを咥えたまま、どこかへ飛んで行ってしまう。
「ぎゃーーーっ、助けてーーーーっ」
「あほーーーーっ!!!」
『いいなぁ!あたしも空飛びたい!!』
「羨ましがってる場合じゃねェだろうが!!!」
急いでオールを手に取り、全力で漕ぎ始める。
「一体何やってんだ、てめェはァ!!!つーか、おい!マクル!何やってんだ!!お前も漕げ!!」
『まぁまぁ、見てなよ』
マクルはそう言ってニヤリと笑うと、船の進行方向とは反対側の海に両腕を突っ込む。
『うぇぇ…力が…抜ける…けど……だぁあ!!』
力の抜けた両腕に最大の力を入れると、風の力で船はまるでエンジンで動いているかのようなスピードで走り出した。
「へぇ、やるじゃねぇか…!」
『へへっ』
マクルが自慢気に笑っていると、水上から助けを求める声が聞こえて来た。
「おーーーい、止まってくれェ!!」
「そこの船止まれェ!!」
「ん!?遭難者かこんな時にっ!!船は止めねェ!!勝手に乗り込め」
しかし遭難者には酷な事に、彼等の存在に気が付いていないマクルは再び海に腕を突っ込んで風の力を発動する。
「「「な!!なにいっ!!?」」」
突然スピードの上がった小船に遭難者の3人は気力で乗り込んだ。
「うお」
「どわああっ!!」
「へえ!よく乗り込めたな」
「「「ひき殺す気かっ!!」」」
『ええ!?誰!?』
見知らぬ男達の突然の乗船に驚きを隠せないマクルの首元に当てられた鋭く光るナイフ。
「おい、このガキの首が吹っ飛ばされたくなけりゃ、船を止めろ。俺たちァ、あの海賊"道化のバギー"様の一味のモンだ」
「あァ!?」
『ははっ』
「あっはっはっはっはーーっ、あなたが“海賊狩りのゾロ“さんとそのお仲間だとはつゆ知らずっ!しつれいしましたっ」
ゾロにボコボコにされた遭難者の男達は船を漕いでいる。因みにマクルは無事に解放されていた。
「てめェらのお陰で仲間を見失っちまった。とにかく真っ直ぐ漕げ、あいつの事だ。陸でも見えりゃ自力で下りるだろう。──で?何で海賊が海の真ん中で溺れてたんだ」
「それだっ!!よく聞いてくれやした!!」
「あの女っ!!」
「そう、あの女がすべて悪いっ!!!」
「しかもかわいいんだ、けっこう!!」
「ありゃあ、おれ達が商船を襲った帰りの事でした」
「……!」
少し前の話を男は語り始めた。
盗んだ宝を満足気に見ていると、オレンジ髪の女がぐったりと倒れている小船を発見した。
なんとか意識のあった女は彼等に、水をくれ、宝なら幾らでもあるから。と宝箱を指差して言った。
宝の確認に、女の船に乗り込んだ海賊達。
すると弱り切っていたはずの女が笑顔で、海賊達の船ごとを宝を盗んで逃げていった。
そして女の持っていた宝箱の中身は空。
終いには小さな嵐により船は破壊され、溺れていた。
「──って言う次第なんですよ!」
「ヒドイでしょ!?」
「天候まで操るのか…海を知り尽くしてるな、その女」
『航海士にしたいなぁ』
期待に胸を膨らますマクルとは、反対に海賊達は怒りを抑えられずにいた。
「あいつは絶対、探し出してブッ殺す!!」
「それより宝をまずどうする?」
「そうだぜ、このまま帰っちゃバギー船長に……!!」
先程から"バギー"と言う名が耳につく。
「その、バギーってのは誰なんだ…!?」
「おれ達の、海賊船の頭ですよ。"道化のバギー"を知らねェんで?"悪魔の実シリーズ"のある実を食った男でね。恐ろしい人なんだ!!」
彼は顔色を変えてそう言った。
『ふぅん』
「………悪魔の実を…?」
「つきました、ゾロのだんな!!マクルさん!!ぐっしっし!」
上陸した町は、人気の無いガランとした所であった。
「何だ…がらんとした町だな。人気がねェじゃねェか…」
『誰もいないのかなー?』
すると海賊は言いずらそうに答える。
「はあ、じつはこの町、我々バギー一味が襲撃中でして」
「どうするバギー船長に何て言う。手ぶらだぜ、おれ達」
「そりゃ、あった事をそのまま話すしかねェだろ!!どうせ、あの女は海の彼方だ」
「じゃあ、とりあえず、そのバギーってのにあわせてくれ」
『ルフィの事が聞けるかもしれないからさ』
バギー一味の船員に案内してもらって2人がやって来たのは、彼等の本部があると言う酒場の目の前。
2人は彼等にお礼を言うと手掛かりを求めて、酒場の屋上へ向かった。
そしてゾロは目に入った光景に溜息をつく。
「はぁ…ったく、何やってんだか」
『あはは』
「行くぞ」
『あいあいさー』
ーー