ONE PIECE

□Episode5
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「あんたも行くの?お腹のキズは」

「治った」

「治るかっ!!」

ゾロは左腕に巻かれていた手拭いを解いて、頭でギュッと縛る。

「ハラの傷より…やられっぱなしで傷ついた、おれの名の方が重要だ。いこうか!」

気合も入って戦いの準備は万端。マクルは簡単にストレッチをし、ルフィは指を鳴らす。

『そうだね』

「ああ、いこう」

「あっきれた…」

ナミは思わず額に手を当てた。













やって来たのは、あの酒場。約束通りバギーをブッ飛ばしに来たが、まずは目の前で殺され掛けている町長を何とかしなければならない。

「おれが行く」

『ははっ、だと思ったよ』













バギーの手に首を締め上げられた町長の足は地を離れ宙に浮いていた。

どれだけ苦しくても、どんなに敵わないと分かっていても、それでも彼は諦める事無く叫ぶ。守る為に。

「この町は潰させん!!!わしと戦えェ!!!」

「!ん?」

突然、感じた違和感には疑問符を浮べ、見れば切り離した自分の手から町長を解放しているルフィの姿。

バギーは表情を歪ませた。

「!麦わらの男っ…!!!」

「ぷはっ、げほっ、げほっ!!」

「約束通り、お前をブッ飛ばしにきたぞ!!!」

そう言った彼はいつも通り、ニヤッと笑った。

「よくもノコノコと自分から…!!」

バギーは手を元通りに戻すと声を張り上げる。

「貴様等!!!現れたな!!!!」

『ははっ』

「いーい?戦うのはあんた達の勝手だけどね、私は海図と宝が手に入ればそれでいいの」

「ああ、わかってる」

「小童共…何しに来たんじゃ、他所者はひっこんでおれ。これはわしの戦いじゃぞ!!」

しゃがみ込んでいた町長は、転がった槍を握り立ち上がる。

「わしの町は、わしが守る!!手出しは無用じゃ!!!」

刹那、マクルは彼の後頭部を持って顔面を壁に叩き付けた。

「!!?」

「おお!」

「……な!!!」

「は!?」

「………」

にいっと笑うルフィに、目を見開くナミ、唖然とするバギー、黙って見詰めるゾロ。

「……!!!」

気絶した町長は壁からずり落ちる。

「あ…!!あんた!!何て事すんのよ!!!何で町長さんを……!!!」

パンパンと手を払うマクルは、にいと笑う。

『邪魔!!!』

「………!!」

「上策だな…この、おっさんほっといたら間違いなく死にに行く気だ。気絶してた方が安全だろ」

「無茶するなっ!!」

『はははっ、褒めても何も出て来ないよ』

「褒めてないわっ!!」

後頭部に手を当てて笑うマクルと怒鳴るナミ。その横でルフィが大声で叫ぶ。

「デカッ」

「え」

「鼻ァ!!!!」

「!!!?」

彼の口から戸惑いなく出た禁句にバギー一味はショックを受け、ナミとゾロも驚き、マクルはいつもの様に笑う。

「ええ〜〜〜〜〜っ!??」

「……!!?」

『あはははっ!!』

怒りが頂点に達したバギーは怒鳴り散らす。

「派手に撃て!!!バギー玉ァ!!!
消し飛べェ!!!!」

放たれた砲弾。

「何言い出すのよ、バカァ!!!」

それを前に逃げ出すゾロとナミだが、ルフィとマクルの2人は動こうとせずに、にいっと笑う。

「おいルフィ!!マクル!!逃げるんだ!!!吹き飛ぶぞ!!!」

「『そんな砲弾(モノ)が(おれ/ルフィ)に効くかっ』」

「ゴムゴムの…風船っ!!!!」

力強く息を吸い込めば、ルフィの体は大きく膨らんだ。

「!!?」

「………!!」

普通の人間では有り得ない姿に一同は驚愕する。

「何だあいつは!?」

「……!?」

「まさかバギー玉を…!!!」

そして突っ込んできた砲弾を、ゴムの反動を利用してそのまま弾き返す。

「弾き返しやがったァ!!!!」

「………先に言えよな」

ゾロが呆れて額に手を当てた直後、砲弾は上手い具合に酒場に直撃した。




ドカァン!!




「!!!!」

「よっしゃ!!敵がへった!!やるか!!」

『おう!!』

「あんた一体何なのよっ!!」

「人騒がせな…」

瓦礫の山と化した酒場からは煙が上がり、その中にバギー一味が埋もれている。

「説明してよ!!だいたいおかしいと思ったわ!!ライオンと戦って来た時からね!!人間技じゃないもの!!何よ今の、風船みたいにふくれたの!!」

「ゴムゴムの風船だ!!」

腕を組んで決めゼリフの様に言うルフィにナミの鋭いツッコミが入る。

「それが何かって聞いてんのよ!!」

その時、


ガラガラ…!


「!」

「あ……」

瓦礫が少し崩れる音がして見れば、気絶した男2人とライオン。そして聞こえるバギーの声。

「よくもまァ、ハデにやってくれたもんだ………」

バギーは船員を2人、もう1人の男はライオンを盾に使って砲弾の被害から逃れていた。

「仲間を盾に……」

「旗揚げ以来、最大の屈辱ですね。船長」

「おれァア、もう怒りで、ものも言えねェよ…」

彼は気を失った2人を、もう用済みと言わんばかりに捨てる。

そこで瓦礫を押し退けて出て来たのは今までずっと気絶していたモージ。

「くそ…気を失ってたか…何だ、このあり様は……!」

「!」

「モージ…生きてたのか…」

そう言う男の手元には気を失ったリッチー。それに気付いたモージは表情を変える。

「!?おいカバジ…!!てめェ、リッチーに何してる!!」

「……あぁ、この猫か。おれの服が汚れるといけないんで、盾に使わせてもらっただけだ」

「おい、リッチー無事か!?」

モージは、男─カバジが投げ捨てたリッチーに慌てて駆け寄った。

「ガヘッ、ガヘッ」

その様子をギロリと睨み付けるカバジ。

その目付きに震え上がったリッチーは、大きな瓦礫の影に隠れる。

「ガルルルルルル!!フーッ、フーッ」

「このスカシ野郎がァ!!!」

リッチーを守る様に立つモージだが、少し離れた所に立つルフィとマクルを見つけ、目を見開いて驚愕する。

「げっ!!麦わらの男と風使いの女!!バギー船長、あいつらにはお気をつけを!!奴らも”悪魔の実”の能力者なんです!!”ゴム人間”と”風人間”なんです!!!」

「ゴム人間と風人間!?」

その言葉を聞いたナミが隣の2人に訊ねれば、

「『うん、ほら』」

ルフィは頬を引っ張り伸ばして見せ、マクルは右手に小さな竜巻を作って見せた。

「……悪魔の実を……!!!バギー玉もはね返す訳だ…しかし、モージ…知ってたんなら」

「は…」

「何で、それを早く言わねェんだ!!!」

「一応、言いました!!!」

バギーに首元を掴まれ、放り投げられたモージは、ルフィ達4人に向かって一直線に飛ぶ。

「ぎゃああああ、そこどけェ!!!」

「!」

「お前が、どけっ」

そう言ったルフィが右脚で彼の顔面を蹴り付け、地面に落とす。

「!!!」

「開戦だ!!」

勢いでナミの方に向かって地面を滑るモージを彼女はジャンプで躱す。

「わっ」

「……!!」












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