鋼の錬金術師

□第1話
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男が裏路地で地面に怪しい何かをかいていた









「氷結の錬金術師ですか?」

童顔の優しそうな軍人が目に黒い眼帯をした軍人と話していた。

「そうだ彼がこのセントラルに侵入している

ロイ・マスタング大佐
その捕獲の指揮を君に任せたいのだよ」

「ご命令とあらば」

ロイ・マスタングと言われた軍人は眼帯の軍人よりも地位が低いようで敬語を使っている。

「いや、君がセントラルにいてくれてよかったよ安心して任せられる」

「はっ」

「あぁ!それとあの兄弟達も来ている
存分に使ってやりたまえ」

「大総統それはもしかして…」

ロイの頬が少し緩んだ気がした。

「そう
鋼の錬金術師 エドワード・エルリックと
雪の錬金術師 アン・ケリー」




───

──



建物の屋上に立って街を見下ろすような3人がいた。

「ったーく人使いのあらい大佐だぜ」

金髪金目の少年の名はエドワード・エルリック。
愛称はエド。背は小さいが15歳だ。

「せっかくりオール行きの切符買ったのにキャンセルだね」

鎧の姿の人物は見た目は大男だが本当は14歳の少年。
名前はアルフォンス・エルリック。愛称はアル。
これでもエドの弟だ。

『こっちも暇人じゃないのにねー』

そして黒髪を高い位置で結んだエドよりも小柄な少女はアン・ケリー。
エドと同じ15歳。
エルリック兄弟の幼馴染みだ。

「しょうがねちゃっちゃと終わらせちまおうぜ」

「『うん!兄さん/エド』」

3人の背後からはきれいに月が輝いていた。
その月明かりに3人は照らされていた。


───

──





ピィーーーーーーーーーーッ!!!



月夜がきれいな町に笛の音が鳴り響く。

「いったぞ!そっちだ!」

追われていたのは氷結の錬金術師と呼ばれる男だった。
憲兵は「止まらんとうつぞ」と言わんばかりに銃を構えている。

しかし氷結の錬金術師は右手をあげて
かいてあった円を光らせる。
そして憲兵ふたりに氷の刃が突き刺さる。
走っているとでてきた違うふたりの憲兵は発砲してきたため、氷結の錬金術師憲兵を触って氷漬けにした。

するとその瞬間に頭上から


グサッ



槍が降ってきて地面にささった。

氷結の錬金術師は後ろにジャンプしてそれをよける。

槍は電気がとおっていて少しでも触れたら感電してしまいそうだ。

「錬金術…」

「ひでぇことすんな…」

『似た部類の錬金術をつかうあたしでもあんなことしないよ』

氷漬けにされた憲兵を見ながら話を続ける。

「大いなる事をするには犠牲がつきものだ等価交換というやつだ!」

「そんなもんが等価交換なわけねぇだろ!!」

エドが両手を合わせる。


ぱんっ!!


そして武器をつくりだした。

「錬成陣もなしに…」

「見とれてる暇はねーぜ」

氷結の錬金術師はノーモーション錬成に驚いているよう。
そんな彼に構わずエドは走り出す。

「!!」

氷結の錬金術師は後ろに目をやると大きな鎧が見えた。

鎧のアルは氷結の錬金術師の頭を殴るため拳を降り下ろすが、ギリギリのところで避けられてしまう。
エドは武器で攻撃するがそれも防がれてしまう。

今度は氷結の錬金術師が錬成しようとエドの右腕に手をかざす。
しかし…

「おわっ!!」

「なに!?
水があれば沸騰するはずだ!!!」

予想外の出来事に驚く事しかできない。

「コートが台無しじゃねぇか」

そういいながらボロボロになった赤いコートに手をかけて脱ぎ捨てる。
エドの右腕は肩の付け根から指先まで、鉛色に光る義手、機械鎧(オートメイル)だった。

「機械鎧……

錬成陣も使わない天才錬金術の技……
そして機械鎧の右腕……
おまえが……
鋼の錬金術師エドワード・エルリックか!!!」

氷結の錬金術師の頭の中で男子最年少国家錬金術師の名前が思い出された。

「そっちじゃないのか」

だが容姿までは知らない氷結の錬金術師は、そういいながらアルの方を指差す。

「あぁ……えっと……
僕、弟のアルフォンスです」

アルがもどりながら申し訳なさそうに言った。

「こんなチビが」

氷結の錬金術師は予想外の事にがっかりしたのか肩を落とした。

「誰がどチビか!!」

エドが禁句ワードを言われて怒鳴っていると……



ぱんっ!!




氷の矢が氷結の錬金術師の目の前の地面にに突き刺さる。

『ほらエドだめじゃんちびに反応しちゃ!!うんまぁでもしょうがないほんとのことだもんね』

矢の降ってきた方向、そして声のした方向を見ると、そこにはアンが立っておりその顔は笑っていた。









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