ONE PIECE

□Episode8
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「えーーーーーーっ!!!」

「カヤさんが殺される!?」

「村も襲われるって本当なの!?麦わらの兄ちゃん!!ちっちゃい方の姉ちゃん!!」

崖の下で寝ていたルフィとマクルは、やって来たゾロとナミそしてウソップ海賊団の子供達に起こされ、こうなった経緯とお嬢様暗殺計画について話した。

「ああ、そう言ってた。間違いねェ!!なぁ、マクル」

『うん。ここで、あの羊とすごい怪しい奴が話してた』

「羊じゃなくて執事ね」

「…それで、何で、お前等はここで寝てたんだよ」

「それがなー、おれもマクルも崖の上にいたと思うんだよなー」

『そうそう。あたしとルフィとウソップの3人でね』

ゾロの問に、2人は疑問符を幾つも浮かべで首を傾げる。

「やっぱりあの羊悪党だったんだ!!」

「どーりで感じ悪いハズだっ!!」

「催眠術師もグルだったんだ!!」

そこで全ての話を聞いていたナミがピーマン達に言う。

「よかったじゃない。先に情報が入ってさ。逃げれば済むもの。敵もマヌケよね!」

「そうか!それもそうだ!じゃ、おれ達も早く逃げなきゃ!!」

「そうだ!!大事なもの全部整理して!!」

「…貯金箱とおやつと…!!船の模型とそれから…!!」

早く準備をしなければ。3人は慌てて駆け出した。

自分達も巻き込まれない内にさっさとずらかろうとしたその時、やばいっ、とルフィが慌てる。

「どうした」

「食糧、早く買い込まねェと肉屋も逃げちまう!!」

『あははっ、そうだね』

肉屋向かって慌てて走り出したルフィを追い掛け、ピーマン達と合流し、村へと歩き出す。

太陽はもう沈みかけ、あたりはオレンジ色に染まっていた。

そんな中、1人こちらに向かってとぼとぼと歩く人影を見つけた。それがウソップだと気付いたピーマンが声を上げる。

「あ!!キャプテン!!!」

「…よぉ!!お前らか!げっ!!」

ウソップもルフィとマクルが死んだと思い込んでいたらしく、ぴんぴんしている彼等を見て目玉を飛び出させた。

「お前等っ!!生きてたのか!!」

『生きてた?何だそれ』

「さっき起きたんだ」

「ずっと寝てました。この人達」

そう言ったピーマンは興奮冷めぬ様子で話を変える。

「そんな事よりキャプテン!!話は聞きましたよ!!海賊達のこと、早くみんなに話さなきゃ!!」

「………みんなに………!!」

意気込む彼とは反対に顔色が悪くなるウソップ。


浴びせられた罵声。

所詮自分は大嘘つき。

誰も嘘つきの話なんて信じやしない。信じようとしない。

だったら、

だったら、

全部嘘にしてしまえばいいんだ。


少し間を置いてから、ウソップはさも可笑しそうに笑い出した。

「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!いつものウソに決まってんだろ!!あの執事の野郎にムカついたんで、海賊にしたててやろうと思ったんだ!!」

「ん?」

『あれ?』

何を思ったのか。あんなにしっかりと「お嬢様暗殺計画」を聞いたのに、彼は今、"嘘"を付いている。

一緒に話を聞いていたルフィとマクルは疑問符を浮かべた。

「えーーーっ!!ウソだったんですか!?」

「なーんだ。せっかく大事件だと思ったのに」

「くっそー、麦わらの兄ちゃんもちっちゃい方の姉ちゃんもキャプテンのさしがねか!!」

「『え?』」

ピーマン達は肩を落とすと、呆れたように言う。

「………でも、おれちょっとキャプテンをけいべつするよ」

「!」

「おれもけいべつする!!」

「ぼくもだ!いくらあの執事がやな奴でも、キャプテンは人を傷つける様なウソは絶対につかない男だと思ってた…!」

それだけ言い残すと彼等は、晩御飯の話をしながらウソップを置いて自宅へと帰って行った。

残されたウソップは黙り込み、ルフィとマクルは未だに疑問符を浮かべていた。

『なんで、嘘なんか付いたの?』

ウソップは村の方を目を向け、こちらを見ないまま答えた。

「場所、変えねェか?」












不気味な三日月の浮かぶ夜、ルフィ達はウソップに連れられ昼間の海岸に来ていた。

「おれはウソつきだからよ。ハナっから信じてもらえるわけなかったんだ。おれが甘かった!!」

ウソップは村の皆を助けようと、海賊が攻めてくる。と村中を叫んで回った。

しかし以前から「海賊が攻めてくる」と嘘をついてまわっていた彼の言葉など、誰が信用するだろうか。

せめてカヤだけでも、と思い屋敷に飛び込むが彼女にも信じてもらえず、メリーという執事に撃たれ、村人達には追い掛けられる始末。

誰にも信じてもらえぬまま、日が暮れてしまったのだった。

「甘かったって言っても事実は事実。海賊は本当に来ちゃうんでしょう?」

「ああ、間違いなくやってくる。でも、みんなはウソだと思ってる!!」

明日も太陽が昇り、いつも道理の平和な1日を迎え、終えると思っている。

「だから、おれはこの海岸で海賊共を迎え撃ち!!!この一件をウソにする!!!それがウソつきとして!!おれの通すべき筋ってもんだ!!!!」


そう。全て嘘にしてしまえばいい。


そして血だらけになった左腕を抑え、ポロポロと涙を零す。

「……………!!腕に銃弾ブチ込まれようともよ…ホウキ持って追いかけ回されようともよ…!!ここは、おれの育った村だ!!おれはこの村が大好きだ!!!みんなを守りたい…!!!」

ウソップは頭を抱え、言葉を続ける。

「こんな…わけもわからねェうちに…!!みんなを殺されてたまるかよ……!!!」

「「「『……』」」」

「とんだお人好しだぜ。子分までつき放して1人出陣とは…!!」

「よし、おれ達も加勢する」

『一緒に戦おう』

「言っとくけど宝は全部私の物よ!」

「え…お前ら……一緒に戦ってくれるのか……!?な…何で…」

口々に戦う意思を見せたルフィ達にウソップは戸惑い、そんな彼を余所にルフィは、当然かのように言う。

「だって、敵は大勢いるんだろ?」

『1人より沢山の方がいいもんね』

「恐ェって顔に書いてあるぜ」

「お!!おれが恐がっているだと!?バカいえ!!大勢だろうと何だろうとおれは平気だ!!!なぜなら、おれは勇敢なる海の戦士キャプテン・ウソップだからだ!!!」

情を掛けられているような気分になり、ウソップは立ち上がって「怖くない」と豪語するが、それでも彼の膝は大爆笑。

「あっ!!」

ガクガクと格好悪く震える膝を見せまいと必死に足を叩くが、結果は同じ。

その様子を強い表情を変えず見詰めているルフィ達。

「見せもんじゃねェぞ!!相手はC(キャプテン)・クロの海賊団、恐ェもんは恐ェんだ!!!それがどうした!!おれは同情なら受ける気はねェ!!」

帰れと怒鳴り散らすウソップを制す様に、ゾロはトーンを落とす。

「笑ってやしねェだろ?立派だと思うから手を貸すんだ」

『大好きな村の為に走り回れるウソップがかっこいいと思ったから、一緒に戦う』

「同情なんかで命懸けるか!」

「う……!!…お…お前ら………!!」

ウソップは、うぎっ…!!と懸命に感激の涙を堪えた。

















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