鋼の錬金術師

□第4話
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美味しそうな食事に手をつけようとナイフとフォークを持つ。

「そういや名前きいてなかったな」

「あそうだっけ

エドワード・エルリック」

『アン・ケリー』

2人の食事が笑顔で親方に奪われる。
料理に刺さることがなかったナイフとフォークがテーブルとこんにちわ。

「錬金術師でエルリックとケリーって言ったら────

国家練金術師でケリーの方は中佐も兼ねた?」

「国家錬金術師」「中佐」という言葉に炭鉱マン全員がピクリと反応する。
先程までの歓迎の笑顔が何処にもない。

「……まあ一応……」

『……うん……そうだよ』

妙な雰囲気の中掴もうとしたコップまでも奪われ、目的を失った手は空気を握る。

炭坑マン達の態度に講義をする。

「なんなんだよ!いったい!」

「「「「「出てけ!」」」」」

3人は首根っこを捕まれ宿の外へぺっと放り投げられた。

「こらー!!俺たちゃ客だぞ!!」

「かーーーぺぺぺっ!!
軍の狗にくれてやる飯も寝床もないわい!!」

「あ、僕は一般人でーす
国家なんたらじゃありませーん」

「おおそうか!よしはいれ!」

「『裏切り者っ!!』」

アルは軍人を軽蔑する態度とは全く逆な笑顔で手招きされ店の中へ入って行いった。

「なんだよ久しぶりに外の者が来たと思ったら」

「しらけるなー」

「えらい嫌われようだね」

肩を落とす炭坑マン達を見て思った事をそのまま口にした。

「そりゃそうだよここの皆は軍人なんて大っ嫌いだもん
ここを統括してるヨキ中尉ってのが金の亡者でさ、もー最悪」

カヤルが口を開けば次々にヨキ中尉と言う軍人の愚痴を漏らす。

「なんでも中央の高官に賄賂を贈るのにご執心らしいぜ」

「今の官位も金で買ったのさ、奴ぁ」

「元はただの炭鉱経営者だったのが出世に欲が出ちまってよ」

「え?じゃあここって……」

「そ、炭鉱(ココ)はヨキの個人資産って事」

「奴がここの権利を握ってやがって俺達の給料は雀の涙!」

「お上に文句言おうにも奴らヨキと賄賂で繋がってるから握り潰され!」

「な?最っ低だろ?」

「そこに国家錬金術師ときたもんだ

「錬金術師よ大衆のためにあれ」術師の常識でありプライドだ
数々の特権と引き換えとはいえ軍事国家に魂売るような奴ぁ俺は許す事が出来ん」

アルの目の前に置かれた食事を持ってきた親方は、笑顔がなく眉をつり上げ口を結んでいた。














「腹減った……ちくしょ〜〜〜アルの奴ぅぅ〜〜〜」

『ほんと〜お腹すいたね…………?』

暗闇でザッと足音がして目を細める。
しかしアンは表情を鋭くして相手を睨みつける。
その相手が何の為にここへ来たのかわかったからだ。

「ケリー中佐、大総統からのお届けものです」

手渡されたのは黒い封筒厚さが5cmはある。

『……どーも』

「失礼します」

軍人は敬礼してさっさと帰っていってしまった。
エドに見えない程度に封筒を開けると中から戸籍のような紙が数枚と資料がたっぷり覗いた。

「何入ってんだ?」

『……仕事だよ……』

そう言うアンには持っている封筒が破れるくらい手に力が入っている。
流石に様子がおかしくて眉間に皺を寄せる。

「見せろよ」

『やだ(なんでエドがいるところで渡すかなぁ……)』

「なんでだ?」

『えっ……それは……極秘の仕事だから』

真剣で何時もより少し低い声のトーン。
アンはエドから目を逸らした。

「嘘つくな」

目を逸らしても尚彼はこちらを真剣にじっと見詰めている。

『嘘じゃないよ!』

「アンが嘘つくときは目を逸らすからな、すぐわかる」

『………………』

とうとうアンは折れた。
これ以上彼に何を言っても絶対に見られる。
と言うか何時か一気に全てがバレてしまうなら、今ここで少し見せておく方がいいと考えた。

『全部は話せないけどいい?』

エドは無言で頷いた。
自分のトランクから分厚い本の様な物をとりだし彼に渡した。

『これ見せることしかできない……これがなんだかは言えない』

開くとそれは本ではなくファイルで、その1枚1枚に人の顔写真と住所から性別、仕事、年齢全が書かれていた。
いわいる個人情報、戸籍。
ページを捲り続けると今より少し幼い自分の写真の貼られたページを見つけた。

「……!!俺だ……アルのもある……」

よくよく見ていくと自分の知り合いでもある人物の方が多いかもしれないことがわかった。

「これ皆お前の知り合いか?」

アンは質問に答えず、資料を奪い取る。
そしてにこりと笑って

『はい!お終いだよ!誰にもいわないでね』

「……ああ」

『約束』

不満でいっぱいの顔をしているエドの前に小指を差し出すと、疑問符を浮かべた。

『昔お父さんに聞いたんだ東の島国ではね約束するときに小指と小指をむすぶんだって!』

「わかった誰にもいわねェ」

その時のエドの顔が赤かったのは誰も知らない。
アンは仰向けに寝転び星が輝く夜空を瞳に映す。

『あたし達嫌われ者だね』

「そうだな……なぁアンお前軍人辞めろよ」

あまりに唐突な言葉に目を丸くする。
そしてフッと笑った。

『何言ってんの?辞めるわけないじゃん』

「……」

何か言いたそうなエドに何も言わせないように口を開く。

『あたしはこんな小さなエドワード君を軍に置いたまま辞められないよ』

「誰が豆粒ドチビだ!」

腹が減っている為何時ものように怒鳴りはしない。

『今あたしの横にいる人』

「お前に言われたかねぇよ!」

『それはこっちの台詞!』

しかしエドとアンの低レベルの争いがここでも始まった。
何時もならなかなか自然に収まる事は無い争いだが、今回ばかりは空腹に負ける。

「あ〜はらへった〜」

『背中とお腹がくっつく〜』



ぐぎぅーーーーーー


空腹で腹の虫がなった時2人の目の前に美味しそうな食事が置かれたトレイがスッと出された。

「僕に出されたのこっそり持ってきた
でも1人分しかないから2人で半分ずつね」

「弟よ!!」

『アル!!』

「ゲンキンだなもーーーー」

視線をあげると裏切って店の中に入ったと思われたアルがそのトレイを持っていた。
追い出された2人は大きな鎧の両サイドから抱きついた。
























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