SIREN(短編)

□恐怖のドライブ
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ただ今の時刻は、PM 11:35。
私は宮田先生の運転する高級車・ジャガーの助手席に乗っていた。
後部座席には牧野さん、須田君、美耶子ちゃん。





どうして夜中にドライブする事になったかというと、それはある手紙がきっかけでした。







遡ること9時間前。
教会で牧野さんと私、須田君、美耶子ちゃんで楽しく御茶会を開いていました。
その時にある人物が現れたのです。





「宮田です。神代の遣いで来ました…」




といつもの無表情の顔で宮田先生は言いました。





「たったしかに…」





宮田から紙を受け取る牧野、一度は何処かで見たことがある光景だった。
いつもならすぐに教会から姿を消す宮田だが、この時はいつもとは違っていた。






牧野「あっあの…」




牧野が宮田に声をかけようとしたら、






宮田「牧野さんにその紙を届けたら読み上げてもらうよう神代家に言われまして…」




と制した。




牧野「はっ…はい」



牧野は返事をすると受け取った紙を広げた。

そして読み上げていく。



しかし、そこに書かれていたのは…





牧野「…っ…!?」




紙を持つ牧野の手が小刻みに震える。






『どうしたんですか?牧野さん!!どこかのアル中みたいだよ!!』





牧野「いえっ、大丈夫です…」



牧野の額からは冷や汗が。それを袖で拭いながら牧野は読み上げた。






牧野「夏の暑さも吹き飛ばす納涼企画を今宵、決行致したく手紙をお送りいたしました。宮田医師の愛車ジャガーをお借りし、宮田医師を含めた5人でドライブして下さい。ただし、これには約束ごとが二点あります。一つ、行き先はそちらの別書に書かれておりますのでその通りに向かって下さい。これは宮田医師が牧野殿から受け取り、4人には知られないようお願いします。」





宮田は牧野から行き先が書かれているという封筒を受け取った。





『本当にこれ神代の手紙なの?』





美耶子「なんだか、言葉遣いがおかしくないか?」




手紙の内容に不審を抱く名前と美耶子。





須田「ようは肝試しってことか?面白そー!!」



美耶子の隣に居た須田はテンションが上がっていた。



牧野は続けて読み上げた。





牧野「二つ、深夜12時になったら、ラジオをつけること…だそうです。」




『大変ですね。夜遅くにドライブなんて…』



牧野と宮田を交互に見て名前は悲しそうな顔をした。






宮田「仕方ありませんよ。神代と教会は絶対ですから…」




当たり前のように答える宮田。




牧野「夜の運転頑張って下さい。宮田さん…」



それを見て牧野は頭を下げた。




宮田「牧野さんこそドライブ頑張って下さいよ…」




牧野「えっ!?」




その言葉を聞いていきなり絶望に立たされた牧野。





宮田「牧野さん、何を驚いているんですか?ドライブは私を含めた5人と書いていたでしょう?」





牧野「だっだからってどうして私が!?」



牧野が慌てふためいた。その姿を見て、宮田は口元の端を上げた。





宮田「ここには丁度いるじゃないですか。私を合わせて5人…」






宮田は指で数えはじめた。


それを聞いた名前は、





『ちょっと待ったーーー!!』




と某ホラードラマの主人公の如く叫んだ。






『もしかして、それって私もカウント…』





宮田は静かに頷いた。





『ですよね…(↑o↑)』












というわけで、夜中にドライブをしている訳です。

須田君はテンションMaxなんだけど、怖いモノ苦手な私と牧野さんはダダ下がり。

美耶子ちゃんはめんどくさそうにしてたけど、須田君がいるから満更でもないみたいで。







そして、時計はとうとう真夜中の12時を回ろうとしていた。





『宮田先生、12時なりそうです…』





カチッ



宮田は静かにラジオのスイッチを押した。

スピーカーからは音声が流れる。






「DJ石田のミッドナイトはにゅ〜だ♡」




♪〜♪〜♪〜






『石田さんだ!!』




須田「石田さん、すげー!!でも警察って副業しちゃ…」




美耶子「駄目だろ…(-_-)」




牧野「こっこうして怖いのをラジオで気を紛らわすのも良いね(^^;)」






石田さんの声を聞いて車内は穏やかな空気に包まれた。










だが、しかし私達は知らなかった。

運転席の宮田さんの口元が緩んでいたことを。
 

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