ルパン三世

□お買い物
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「名無しさん、支度できた?」

不二子ちゃんの声に返事をすると、
彼女は私を見てにこりと笑った。

「今日も可愛らしいお洋服ね」

私は少しすねる。

「不二子ちゃんのお洋服の方が可愛い」

すると彼女はまた笑う。

「名無しさんのほうが、可愛いわよ」

不二子ちゃんの言う「可愛い」は、子供に言うのと同じだもん。


「もう用意できた〜?」

お洒落なジャケットに身を包んだルパンが、様子を見にやって来た。

「ルパン。待たせてごめんね。もうできたよ、行こっ」



私と不二子ちゃんは、お買い物をするんだ。素敵なお洋服やアクセサリーを買うんだけど、私と不二子ちゃんは好みが違うから、いつも別行動。迷子になるといけないからって、ルパンがついて来てくれるから、結局ルパンとのお買い物になる。

「ねえねえルパン、このワンピースどうかな?」

「うんうん、可愛いよ〜!名無しさんちゃんは何着ても可愛い」

ルパンはいつもこういうから、当てにならない。荷物持ちもしてくれるから、文句は言えないんだ。

「は〜...私も不二子ちゃんみたいに大人っぽいお洋服が着たいな。背中や胸元の開いたセクシーなワンピースが欲しいな」

「ん〜?」

「私もう18歳だもん。ハイヒールも履きたいし、高いアクセサリーも欲しいよ。ねえルパン、ルパンも大人っぽい女の子の方が好きでしょう?」

「んふふ〜俺は普段どおりの可愛い名無しさんちゃんが好きよ〜」

「も〜!また子供扱いして。私は不二子ちゃんみたいな大人の女性になりたいの。次元ちゃんだって五右衛門ちゃんだって、そっちの方が好きに決まってるもん」

「ん〜俺は不二子ちゃんも名無しさんちゃんも好き〜。次元はなー不二子にはない名無しさんちゃんの純粋さや素直なところが好きだと思うぜ。五右衛門だってそうだ」

「それは内面でしょ〜見た目から大人っぽくなりたいの」

「うーん...あっ不二子ちゃ〜ん!」

大量の買い物袋を下げた不二子が帰ってきた。その荷物は当然ルパンに渡される。

「欲しいものは買えた?名無しさん」

「不二子ちゃん...私ね、不二子ちゃんが着てるようなセクシーなワンピースが欲しいの」

「あら...」

「みんなに子供扱いされるのはもうイヤなの。私大人だもん」

そう言うと、不二子は優しく微笑んだ。

「あなたにはあなたの良さがあるわ。私には似合わないお洋服、沢山持ってるでしょう?私だって名無しさんみたいな女の子らしい服が着てみたいわ。でもそれは私らしくないの。
名無しさんは名無しさんの魅力を引き出してくれるお洋服を着るのが一番よ」

「不二子ちゃん...」

彼女にそう言われると、この幼いワンピースもとても素敵なお洋服に見えた。ローヒールの靴も、苺のピアスも私らしさ。私を可愛くしてくれる魔法のアイテム。

「さっすが不二子ちゃん。名無しさんちゃん、俺もこういうことが言いたかったんだよ」

「ルパン...うん、そうだよね。私は私らしく、でいいんだよね。ありがとう、二人とも。ねえねえルパン、この花柄のスカート買ってもいい?帰ったら次元ちゃんと五右衛門ちゃんに見せるの!」

「もっちろん!早く帰って見せなきゃな〜」

私の笑顔を見て、不二子ちゃんも笑顔になっていた。
ああ、いつかこんな綺麗な人になりたいな。私の憧れの人は、不二子ちゃんただ一人!
 

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