中編

□進む道
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反転世界での不思議な出来事の後シンジ湖へと着いたルーシェとルナール。
二人は近くの町のポケモンセンターへとやって来た。
ジョーイさんへ手持ちのポケモンを預け、ルーシェは宿泊する部屋の鍵を貰おうとする。

「ルナール、同じ部屋でもいいかしら?」
「え、ええっ……!」

同じ部屋と聞いて驚くルナール、ルーシェは理由を話す。

「ジョーイさんが、今日はもう一部屋しか空いてないって言ってて……嫌だった?」
「あっ……そういうこと。う、ううん!嫌じゃないよ!」

空き部屋がないから、という理由を聞いてホッとするルナール。
二人はポケモン達の健康診断が終わるまでの間、近くのソファーへ座る。


ポケモン達を待っている間、ルナールは一人悩んでいた。
お互いに16歳とはいえルナールは男でルーシェは女、同室と聞いて驚くのが普通なのだろう。
しかしルーシェはそれを全く気にしていないようで、ルナールに

「とりあえず明日出発するし、一日くらい大丈夫よね?」

と呑気に聞いてくる為ルナールも思わず溜め息をついてしまう。

「なあルーシェ……俺、男なんだけど?」
「ええ、知ってる」
「いや……何とも思わないの?」

ルナールの質問にルーシェは首を傾げたので、苦笑いをしてルーシェへ言う

「うん……俺が悪かった、今の質問忘れて」
「そう?あ、飲み物買ってくるね。何かいる?」
「じゃあ……サイコソーダをお願い」

分かったと言いルーシェは立ち上がり自動販売機へと向かう、その姿を見てルナールは再び溜め息をついた。

(鈍感にも程があるだろ……今日寝られるかな、俺)

彼がこう思うのには理由があった。


ルナールは過去の記憶を思い出す、ルーシェと会ったあの時のことを。

(君があの時去ってから……もう一度会いたい、会って話がしたい、謝りたい、友達になりたい。ずっとそう思ってた、一度だって忘れたことはない……)

ルーシェにもう一度会いたいと、ずっとそう思っていたルナール。
始めはただ謝りたいだけだったのだが、ここシンオウ地方で再会し少しの間だが共に行動していくうちにこう思うようになった。

(もっとルーシェのこと、知りたいな……)
「ルナール、サイコソーダよ。はい」
「あ、ありがとう!」

ルーシェが戻ってくるとルナールは少し赤くなりながらサイコソーダを受け取る。
サイコソーダを飲みながらふと彼がルーシェを見ると、彼女はミックスジュースの缶を持っていた。

「ミックスジュースが好きなの?」
「ええ、他の飲み物も好きだけどこれが一番好きなの」

質問をするとルーシェは笑顔でそう答えた、ルナールはその姿を見て自然と嬉しくなる。

(ルナールからは悪意を感じないから、信用しても大丈夫かな)

実はルーシェがそう思っていたことをルナールは知らない。
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