中編

□新たな地方へ
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ルーシェはイーブイを自分の顔の前に近付けて言う。

「私は貴方が望む姿になってほしいな、確かにエスパータイプのポケモンはサイキッカーには必要。でもまだ旅は始まったばかり、これから探せばいいの。だから心配なんていらない、分かった?」
「……ブイ!」
「良い返事ね、だからちゃんとご飯食べなさい。何も心配いらない、進化する時に元気じゃないとね!」

そう言ってイーブイを降ろすと、安心したのかポケモンフーズを食べ始める。

「さて、何に進化するか決まったけど。グレイシアに進化させる方法をまずは調べないとね、こういう時は……」


食後、ルーシェはテレビ電話の前にイーブイを抱えて立っていた。
連絡している相手は、

『やあ、ルーシェ!どうしたんだい?』
「バージル、聞きたいことがあってね。今平気?」

セッカシティで出会い、また話そうと連絡先を貰っていたバージルだった。
イーブイの進化系を使う彼なら、グレイシアへの進化方法も分かるだろうと思い連絡をしたのだ。

『ああ、大丈夫だよ。聞きたいことって?』
「実はグレイシアの進化方法を教えてほしいと思ってね、知ってる?」
『グレイシアか、ルーシェのイーブイはグレイシアにするのか?』

バージルにそう問われたので今日の出来事を話すと、

『グレイシアは氷に覆われた岩に触れると進化するんだ。俺はネジ山で進化させたけど、初めてグレイシアが見つかったのはシンオウ地方だって聞くし。もしかしたら何処かにあるんじゃないかな?』

丁寧に進化方法を教えてくれた。

「そっか、ありがとうバージル。夜にごめんね」
『気にするなよ、俺もまた話せて嬉しいし。イーブイが進化したらまた連絡してくれるか?』
「ええ、ちゃんと報告するわ。じゃあ、またね」

教えてもらった礼を言いテレビ電話を切ると、ジョーイさんが此方にやってくる。

「あの、ルーシェさん。貴女宛にこれ、届いてますよ」

と、やや小さめの箱を渡される。
ジョーイさんは持ち場に帰っていき、ルーシェは部屋に戻り中身を確認する。
包み紙を取り、箱を開けると一枚のカードが入っている。

「誰だろう……ルージュから?」

ルーシェはカードに何か書かれているのでそれを見る。
内容は、

"そろそろシンオウ地方に着く頃だと思い、これを贈る"

そして下に小さく、

"超能力の影響を受けぬよう、普段は鞄にしまうように"

と書かれていた。
そして、中身を確認して驚いた。

「これ……ライブキャスター!?」

入っていたのはイッシュ地方で発明された通信機器、ライブキャスターだった。
ライブキャスターはいつでも使えるように設定されており、既に自宅とルージュの連絡先が入っていた。
恐らくルージュが設定したものだとは思う、しかし何故居場所が分かったのだろうか。

(まあ、いつも通り予知したって言いそうね……)

こういうことは幼い時からあったことなので、これ以上は触れないことにした。
そしてライブキャスターを鞄にしまうと、ルーシェはシャワーを浴び着替えてベッドに横になる。

「今日は疲れたし、明日に備えて休もう。皆、おやすみ」

自分の周りで寝るポケモン達にそう言い、ルーシェは眠りについた。
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