最初の番号の部隊。青年は傷を癒すために彼等と出逢った
□村雨 秋人 X
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来たばかりで、そこまで量のない荷物を抱える
「エレベーターに乗りながら部隊の事を説明するよぉ」
間延びした喋り方をする、と思いながら横顔をちらりと見ると、閉じられた目が薄く開き、こちらを見返してきた
エレベーターがボタンを押していないのに勝手に動き始める
「ボクは藤娘 ナミキ。君の所属する部隊の隊長になるんだぁ」
「隊長⋯」
そう、隊長。とナミキは笑顔を見せる
「君が所属する事になるのは、極秘の⋯支部長が管理している部隊、第零部隊だよ」
そう言いながらナミキはエレベーターの入口に立つ
「君は、グラスゴー支部に行って、そのままあっちに着任した事になってる。だから本当は極東にはいない存在」
エレベーターの扉が開くと、そこには見覚えのある顔が立っていた
「おかえりなさい、ナミキ隊長。そして『はじめまして』村雨 アキヒトさん」
いや、見覚えのある顔だと思っただけで、じっさいはそうではなかった
「うん、ただいまセイヤ。アキヒト、彼はセイヤ。君がグラスゴーまで迎えに行ったコクヤの弟」
その瞬間、薄く笑みを浮かべていたセイヤの表情からも目からも温度が失われる
「⋯兄さん帰ってきたんですか」
「そうだよー、うれしいー?」
「全力で舌打ちを堪えてます」
そんな片方絶対零度の会話を聞きながら震える
自分にも兄がいるので弟の気持ちというのはわからないでもないが、ここまで嫌ったりはしないし、自分の兄は嫌えるほど良い人でも悪い人でもない
「あっはっはー。まぁお兄さんと仲良くしててよぉ⋯じゃあボクはアキヒト君を案内するねぇ」
と、言ってナミキが進み出すと、セイヤが「あ」と声を出す
「そういえば、シュウヤ君が隊長を探してましたよ、ブリーフィングがどうとかって」
「あー⋯完全に忘れてたよぉ」
「アキヒトさんは僕が案内するので、隊長は早めにシュウヤ君の所へ行ったほうがいいかと」
「うん、じゃあ任せるねぇ」
と、ナミキは廊下の向こうへ掛けていく
脚が速いのかその姿は直ぐに見えなくなる
セイヤがこちらを振り向いた
「さて、行きましょうか」
その微笑みはコクヤのものと全く同じだった
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