刻の学園

□転校生と兄。
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キョロキョロと玄関付近を見回すとミノリとアランを見つける事ができた。
そちらに駆け寄ると真っ先にアランが気付く。
最近アランは気配の察知に敏感になっている気がする。
「レイ遅かったね。何してたの?ベック先生にイジメられた?」
ミノリが頬をつついてくる。
「イジメられてないし、ベック先生は虐めないよ!! 失礼でしょ!!」
と、私が少し怒ると「ちぇ、つまんないの」と言って口笛を吹き始めた。
もう、と口にはするが特に叱らず。
アランを見ると、隣に見知らぬ(?)生徒がいた。
ミノリの背中にすす、と隠れる。

…よく見ると購買部でねばねばサンド食べた人だった。
アランがそんな私を苦笑いしながら見つつ。
「レイ、こいつはモーリア。転校生だ。」
と、紹介した。
モーリアさんは「よろしく!!」と元気の良い笑顔で挨拶をしてくれた。
褐色白髪のディアボロス。
隣のアランと見比べると少しだけ似ている気がした。
不意にモーリアさんはまじまじと眺めてくる。
「…どっかであった?」
「お前が俺と間違えた双子の妹。」
「成程。」
何処をどう間違えたら私とアランを間違えるのか。
顔立ちは確かに似ているが種族が違う上に目の色が違うのに。
「って、おい!! 確か、制限時間があるんだったよな!! 急がないと!!」
「元気がいいなオイ…ミノリ、レイ準備は?」
アランは駆け出そうとしたモーリアさんの首根っこを掴みつつ私達に尋ねた。
なぜモーリアさんが私とアランを間違えたのか、わかった気がした。
ミノリを見ると、ミノリは私と一度目線を合わせ、悪戯っぽい笑みを浮かべた後、頷いた。
私はそれを見てアランに頷いて見せた。
「OKいくぞ。」
アランはモーリアさんの頭に、帽子越しであろうと痛そうな拳骨を落とした後、歩き出した。
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