刻の学園

□転校生sideL
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職員室の入口からそぉ、と覗くと後ろからつまみ上げられた。
「…変質者?」
「違いますよ春人先生。ちょっと用事があるだけです。」
と告げると私の目を見て、職員室を見回す。
そして、コゴロウ先生の机まで歩いて。
「お届けモノです。」
と、私を下ろした。


―――当てられた。


と、振り返ると春人先生が結構眠たそうな目をしていることに気付いた。
「おう、来たな。生徒会長。早速だが頼みがある。」
しかし、コゴロウ先生のそのセリフで私は春人先生から目を離した。
「何日か前に転校生が来たのは知ってるか?」
私はその言葉に頷く。
アランから聞いた、と言うか会ったし会話もした。
「そいつがどうも一匹狼気質でなぁ。」
「えっ」
「ああ、モーリアじゃ無いぞ?」
「えっ」


―――それは、初耳なんですが?


と、唖然とするも、先生は構わず続けた。
「冒険者たるもの、自立心は大事だが、それじゃ折角学園に入ったってのに意味がねぇだろ。」
それは確かである。
学校とは集団行動を学ぶ為のものだから。
と、アランが言っていた。
「そこでだ。お前が面倒見てやってくれ。」
キョトン、とした顔を私はしていたと思う。
「……。お、嫌そうな顔をしなかったな。それでこそ生徒会長だ。」
確かに、嫌ではない。
むしろ、少し楽しみだとも感じている。
「名前はキュービット。まだ帰ってないだろうから、学園内の何処かに居る筈だ。」
そう言われても何かヒントが欲しいものだ。
「あの、特徴…は?」
「見ない顔がいたらそいつに間違いないだろ」


―――ええ……?


私はその言葉に唖然とし、固まる。
「さあ、行け。任せたぞ生徒会長。」
投げやりに任せられてしまった。
とりあえず見ない顔がいたら転校生らしい。
何と言う難易度。
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