遠い日の約束〜完結〜

□三十六章
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あれから扉間とマダラは柱間を探しに行ってしまい、やよいは頼まれた仕事を引き受け作業をしていた。
ガラッ
「おはよう!ヒカク」
「おはようございます、やよいさん」
「む…やよいって言ってほしい…」
「ふ…分かりました。」
「敬語も「それは出来ませんよ」なんで?」
「癖みたいなもんですから…
マダラ様はどちらへ?」
「柱間を探しに行ったよ?扉間と」
「…またですか…」
ヒカクの表情からするとしょっちゅう脱走しているのが明らかだった…
もう…この里が心配だ…

カラリッ

控え目に開けられたであろう扉へ視線を向けるとミトと付き人を連れて立っていた。
やよい達に驚き目を見開いていた。
「柱間様は?」
「脱走中かと…」
「ふざけておるのか!?ミト様になんと無礼な!!」
「事実を申し上げたまでのこと…
仕事されているというのであれば、
別の部屋をお探しになればいい。
この屋敷にいるとはおもえませんが…」
「ヒカク」
やよいが止めるには一足遅く、ミトの側近から非難の声があがった。
「やはりうちはは野蛮で品に欠く一族ですこと!!」
「柱間様と交友があると聞き、見ればなんと失礼極まりない事!」
「貴方がうちはマダラの妻かしら?」
「そうですが…」
「化物同士お似合いな事ね」クスクス
「女のくだらない話しに付き合っている程暇ではありません。ここは仕事場です。仕事をされないなら今すぐ出て行って下さい。仕事ができると信用されているのなら別ですが?」
さあ出ていけと言わんばかりのヒカクから放たれる威圧を感じとり、相手側が口ごもる。
やよいは溜め息をつきミト達に近づく。
「私の事はなんとでも言えばいい。でも、マダラの事は許さない。
今のは私も言い方が悪かったと思う。ごめんなさい。ミトさん、良かったらお茶飲んで行かない?」
「そんな事「…御言葉に甘えるわ…」ミト様!?」
「貴方達は戻ってなさい」
「しかし…「下がりなさい」!はい…」
此方を睨むようにうずまきの人達は去っていった。
「ヒカク、隣の部屋にいるから何かあれば呼んでね!」
ヒカクの返事を待たずして、やよいはミトの手を引き隣の部屋に入って行った。

「適当に寛いでて!!お茶菓子とお茶はと…」
ガサガサと用意するやよいを見ながら、開いた椅子に座り周りをみた。
夫の仕事場に来た事はあまりないためかミトは珍しげに見回す。
夏だと言うのに、涼しく、気持ちいい風が入り込む。
「どうぞ♪」
「ありがとう…」
出されたお茶を一口飲む。
「美味しい…」
「本当!?ありがとう!ヒカクが教えてくれたの。良かった〜教えて貰っといて…」
ヒカクに御礼言わなきゃ、うんうん…
「貴方は…」
「ん?」
「貴方は…柱間様の事どう思っているの?」
「親友!!」
見事な迄にきっぱり言い切ったやよいにミトは可笑しくて笑ってしまった。
「どうしたの?可笑しい事言った?」
「いえ…ふふ…っ…あまりにはっきりおっしゃるから…ふふふ」
「ミトさんが思うような関係じゃないよ。」
「!っ…信用できないわ…」
「なんで?私は…」
「私は?」
「〜〜っ//マダラが…好き…だから…」
真っ赤になりながらも、マダラを好きだとやよいはミトにはっきり告げた。
やよいの様子にミトの心の蟠りが少しではあるがなくなった気がした。
「もし、柱間様から「ミトさん」っ!!」
「私は柱間も愛している。
柱間は扉間、イズナ、ヒカク、一族、里の民…その人達と同じ愛情であって、マダラはそれ以上に私にとって特別な人。ミトさんなら分かってくれるよね?柱間が私にそうであっても、応えるつもりはないよ。」
「……でも人の心はうつろいやすいもの…」
「そうだね…その時絶対と思っていても、人の心はうつろうもの。心変わりや信用するのが怖く傷つきたくないなら最初から信じないのが賢い生き方だろうね。」
でも…
やよいは静かに窓枠に凭れかかりながら外を見る。
あ…柱間と扉間…マダラどうしたんだろう…
柱間が此方に気づき手をふってきたのでやよいも手を振り応えた。
「でも、傷つかないかわりにそこには喜びもない。思いや約束、これは絶対守るという戒めが自分の中にあってこそ、まっすぐ一生懸命生きられもする。そして喜びを知る事ができる。」
信じるものがない人生は死に等しい…
「……マダラや貴方が羨ましい…」
「そうかな…」
「貴方は強いわね…」
「強がってるだけだよ。人間なんて脆い生き物だし」
「そうね…」
「こうしてミトさんとまた話せて良かった、ありがとう」
「私は「やよい!!とミト!?」」
バターン!!と盛大な音をたて扉を開けた柱間は走ってきたのか息が荒い。
扉大丈夫かな…あっ…ネジが…
「ミト、どうしたんぞ!?何かあったのか!?」
「あ…あの…」
「私茶菓子切らしてしまったから行ってきます♪」
やよいはミトにニカッと笑い颯爽と部屋を後にした。
階段で扉間に会い何処行くのか聞かれ、茶菓子が切れた事を言うと納得したように、気を付けろよっと言われ頷き階段を下りて行った。


ーー
「わぁ!!美味しそう!!」
ケースに並べられた色とりどりの和菓子が美しく、その繊細さに魅了される。店長におすすめを教えて貰い、買い終えた時刻は午後を過ぎていた。
「あ〜!!しまった!!」
火の国との会合だった…
(間に合うかな…)
やよいは急ぎ屋敷に戻った。

「扉間、ヒカク!!」
二人は何だとやよいに聞き返した。
「会合もう始まってる?」
「あぁ…なんだ行くのか?」
「そうじゃなくて…お茶菓子出てる?」
「は?」
「お茶はお出ししましたけど、菓子はまだ…」
「良かったらこれ買って来たし、出して大丈夫かな?」
「いいのですか?せっかく「いいの。」では…」
ヒカクは漆皿に懐紙を引き、練りきりを潰さないよう慎重にその上に乗せていく。
「やよい、お前が持っていけ」
「!」
「え゛!?なんで?」
「いい機会だ。うちはマダラの妻として外との交流も大切な政事だ。マダラは不在だからな。お前もうちはなら顔を出しておくといい。」
「う〜…マダラの許可なく私がでしゃばるのは気が引けるけど…」
「会合や政事の駆引きで女がいるとやり易いものだ。里の為にもなろう」
「やる!!里の為に私頑張るよ、ヒカク、扉間!!」
「そうか…会合の部屋は上の階上がって左奥だ。すぐわかる」
「分かった!!行ってきます!!」
バタン…
「何を企んでいる?千手扉間…」
「何も?これで少しはうちはの株があがる…それだけだ。」
扉間とヒカクは互いに睨むが、扉間はフン…と鼻を鳴らし仕事に取りかかった。
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