遠い日の約束〜完結〜

□十六章
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あれから1ヶ月近く経った。
やよいはクナイを的のど真ん中に当てれるようになった。勿論動きながら。
最初はひどかった。真っ直ぐに投げる事が出来ず、地面によく刺さっていた。
巻物もあのお店に行き、読んだり実戦してみたりもした。
以前より知識も少しではあるが増えた気がする。
忍の事やチャクラの事、基本的な事も知って、ある程度チャクラを引き出したりなくしたりできた。
コントロールが上手くできて、なんとか形にはなってきた。
手や足は豆ができ、あちこち傷だらけだった。
「まだ…まだ追い付けれてない…」
マダラや柱間に追い付きたい一心で無我夢中に、がむしゃらに自分を鍛えていった。
「封」がされている巻物を広げた。
沢山の文字が並ぶ中に真ん中に死んでしまった魚を置き、手をかざした。
自分の能力である治癒力を限界まで伸ばしたかった。
水遁、晶遁、治癒…せっかくの力を無駄にしたくなかった。
二人に負けたくない。
やよいは手元の魚に集中し蘇生を始めた。文献を読み漁って内容は頭に入っている。
が…なかなか上手くいかなかった。
この一週間蘇生出来ずにいた。
マダラや柱間の存在がやよいを奮い立たせた。

ピクッ
「!やった…できた…できたー!!」
魚は見事生き返った。
魚を川に逃がし、水面の自分の顔を見て驚いた。
少しばかり幼くなっていたのだ…
手をみると少し小さくなって、服も少し緩くなっていた。
「どういうこと…?」
やよいは茫然とした。

とりあえず竹を少し切り出てきた水分でのどを潤す。
果実をかじりながら空を見上げた。
晴天で穏やかな日差しだった。
今もどこかで戦をして、死んでいる人がいる事が信じられなかった。
手を空にかざし、拳を握った。
「あれ…?戻ってる?」
手が元の大きさに戻り、服もちょうどになった。
自分の体の異変に少し驚いた。
「もしかして…」
嫌な考えが頭に過った。
風がさらさらと頬をなでた。

「久し振り…扉間」
「あぁ…」
扉間はやよいの後ろにいた。
「どうかしたのか?」
「ん?ん〜なんでもないかな」
今はまだ言うべきでないと思った。

「跡残っちゃったね…ごめんね…」
やよいは扉間の頬と顎の傷にふれた。
「気にしていない…やよい」
扉間の言葉にやよいは固まった。

明日…うちはと戦う…

扉間の硬い声が静かに響いた。
「ここから西の方だ…やよいはどうする…?」
扉間はやよいを見た。
やよいは真っ直ぐ扉間を見た。
「私は千手でもうちはでもないから…関係ない私がでしゃばるのはよくない…でも…」

マダラや柱間、扉間やイズナは大切な友達だから、遠くから見守るよ…

絶対、死なせない!

「なにが起こるかわからない…相手は写輪眼で大の大人だ…中には子供もいる…殺す気でくるから絶対近づくな、気を抜くなよ。」

やよいが頷く。

「俺はもう行く。」
「扉間、教えてくれてありがとう…」
「本当は言わないつもりだった。」
「私を信じてくれたんだ…」
「何かあれば俺が守る」
「ふふ。ありがとう…でも、もう守られるばかりの私じゃないわよ?」
「今度確かめてやる…」
扉間はふと笑いながらその場を去った。

やよいは明日の準備をした。動きやすい服に数本のクナイ、呼び寄せの巻物、出来るだけ身軽にかつ、道具を万全にした。

夜、やすいは月に手を合わし願った。

ーどうか、早く争いがなくなりますように…
皆が無事でありますように…


「いよいよだな…兄者」
「あぁ…」

「兄さん…」
「イズナ、お前は俺が絶対守ってみせる…」
「僕も兄さんを守ってみせるから…」

月は曇に隠れてしまった。
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