遠い日の約束〜完結〜

□十八章
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やよいは布団の上で静かに座っていた。

扉間が掴んだ手首は赤くなっていた。
「譲れないんだ…どうしても…ごめん…扉間…ごめんね…」
やよいは手首を擦りながらポツリとつぶやいた。

「少しいいか…」
襖の向こうから声がした。
「どうぞ」
襖が静かに開きお互い眼があった。
「助けて頂きありがとうございます」
「いや…久しいな…」
「名前はやよいといいます」
「千手仏間だ…知ってるだろ…」
やよいは頷く。
「仏間さんも…思い出したのですね」
「あぁ…最近思い出してな…その様子だと、タジマもか…」
「はい…」
「やよい…君のその傷はタジマと一線交えたな?…かなりの手練れだったろう…」
やよいはピクリと動いた。
「自分はまだまだと痛感しました…友を…大切な人を守れる力が私にはまだまだ無いことに気づかされました…」
「…そうか…」
「あの…子供は…あの子は?」
「大丈夫だ。容態は安定している」
やよいは少し安心した。
「扉間が悪かったな…痛かったろう」
やよいの赤く腫れた腕を申し訳なさそうに、優しく撫でた。
「気にしないで下さい。未熟である私が悪いので…扉間の気持ちを傷つけてしまいました…迷惑もかけてしまい本当にすみませんでした…」
「気にするな…それより、扉間を許してやってくれ…あいつは不器用でな…やよいを妹のように思っているんだろう」
「許すも何も…怒らせてしまった私が悪いので…扉間の気持ちを踏みにじり傷つけてしまいました。すみません…」
「謝る事はない…あいつも少し頭を冷すいいきっかけだ…」
「あの…柱間は…」
「無事だ。柱間に会うか?」
やよいは無言で首をふる。
そうか…と仏間は言った。

「…戦を終わりにしませんか…」
「…それは無理だ…向こうとて同じだろう…」
「…」
やよいは黙ってしまった…
タジマの気持ちも仏間の気持ちも、痛い程わかった気がしたのだ…
お互い一族の長という立場
一族を守らねばならない
例え和解しても相手を憎く思う者も少なからず出てくるだろう…
そうなったら…また…
お互い一族を守るために、それぞれの平和のために…相手を根絶やしにする…
そうすれば安心して暮らせれる平和がやってくる…
けど…
「私は…」
そんなのは本当の平和じゃない
「いつか…うちはも千手も手を取り合える日がくること…信じます…」
「…自分やあいつでは出来なかった夢を、次の世代に託すとしよう…」

あぁ…やはりあなた達も…
現実は難しいのだろう…
でも、もう諦めない
あのとき誓ったのだから

「柱間や扉間を頼む…私の「仏間さん」」
「最後なんて言わないで下さいね」
「ふ…そうだな…」
仏間はやよいの頭をゆっくりなで二人で笑った。
「体調がよくなるまでいなさい…」
「いえ…明日の朝に出ます…」
「…気にせずゆっくり休んでいきなさい…食事は運ばせる、風呂は…やめときなさい…」
ゆっくり休みなさいと言い残し仏間は部屋をでた。
「柱間…マダラ…」

やよいは友人を思いながら目を閉じた
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