遠い日の約束〜完結〜

□二十二章
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扉間に言われた通りひたすら東を目指した。
気がつけば当たりは暗くなり月明かりが辺りを照らしていた。
休まなかったからか息がきれ脚も悲鳴をあげ始めた。

「!」
やよいは急いで身を潜めた。
少し先で数人のチャクラを感じた。
やよいは髪を布で巻き、目しか出さないよう布で鼻や口を隠した。
サラシをキツく巻き、男か女かわからないようにした。

なんとかすり抜けて少し安心した。
やよいは慎重に進んで行った。

森を出ると集落みたいなところへ出た。
ーもしかしたら…マダラがいるー
胸の鼓動が上がる。
会いたいのか、会いたくないのか…
うれしいのか不安なのか…
しかし、マダラは自分を覚えていないと思うと少し悲しく思った。

やよいは木の上から周辺をよくみた。
ある場所から数人が提灯をもって集落にやってきた。やよいもその場所へ向かった。

「!ここは…」
辺りは蝋燭の光り、幻想的だった。
辺りに人影がいないのを確認するし、歩を進めた。
「…」
たどり着くと、そこは墓場だった。
あちこちに灯された蝋燭が犠牲者の数を表していた。
やよいは探した。
そして見つけたのだ。

うちはタジマの墓を…

花や線香、蝋燭が供えられていた。
「タジマさん……お父さん」
やよいはしゃがみ声を殺して泣いた。
二度と泣かないと決めたのに…

やよいはこの日初めて大切な人を二人亡くした。
やよいは昔イズナに言われた事を思いだした。
そして、今やっとマダラや柱間、イズナや扉間、大切な人を亡くした人達の気持ちがわかった。

私は全然わかってなかった。
自分を恥ずかしく思ったと同時に自分に怒りが沸いた。

彼らをわかったようでわかってなかった…
私は…なんて愚かだったのか…

やよいはタジマの墓に泣きすがった。


ーー
タジマの墓から体を起こし、やよいは辺りを見た。
犠牲者の上に今の私達がいる…
うちはだけでなく、千手やほかの部族も…
「もう…終わらせよう…」
こんな悲しい時代は…
亡くなった人達の為にも…
この先の未来の為にも…

「ねぇ…マダラ…柱間…」
やよいは夜空を見上げ呟いた。
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